よーだ育休準備中

バリー・シール/アメリカをはめた男のよーだ育休準備中のレビュー・感想・評価

4.0
米航空会社TWAに勤める若き天才パイロットは、裏でキューバからの禁制品(葉巻)の密輸に手を染めていた。そんな彼の技術と野心に目をつけたCIAが、対共産主義陣営の特殊工作員としてBarry Seal(Tom Cruise)をスカウトする。


◆Doug Limanが贈る“世界●天ニュース”

☑︎ 民間空中哨戒部隊の主席
☑︎ TWA歴代最年少パイロット
☑︎ CIAの特殊工作員
☑︎ アーカンソー州・ミーナの大富豪
☑︎ コロンビア麻薬王の密輸請負人

冷戦の真っ只中、米国の若き天才パイロットが、CIAや麻薬カルテル、遂にはホワイトハウスから目をつけられる。

資金洗浄が間に合わないほどの大金を手に入れ、栄華を極めたかと思えば、DEA(麻薬取締局)やFBIから摘発され、特赦の代わりに更なるリスキーな仕事へと駆り立てられる。

巨大な組織や国家の利権と思惑に振り回された男の、波乱万丈な一生を基に描かれた作品。晩年の独白を挟みながら順を追って展開していく構成も◎!


◆アメリカに“担がれた”男

CIAの命令に背きながら、地位や特権、麻薬王とのパイプをフル活用して私腹を肥やしていたBarry。

コカインが社会問題化している背景と重ねて、《アメリカを嵌めた男》などと邦題がつけられているのだろうが、何も合衆国はこんな子悪党一人に謀られた訳ではない。

CIAは全てを知りながら黙認していて、不要になったから切り捨てた。CIAに切られた後は更に大きなバック(ホワイトハウス)に利用された。

Tom Cruiseがエネルギッシュに演じている事から変な錯覚を起こしそうになってしまうけれど、彼が手に入れた物は全て《利用するために与えられた物》で、最後には全てを取り上げられてしまっている。合衆国という巨大な(一枚岩ではない)掌の上で踊らされる哀れな道化のように映る。

自らの窮地に差し伸べられる手が一体何なのかわからず、きょとんとした表情が印象的。(流石トム様!)

時折見せる真面目で優しげな様子があるから余計にやるせない気持ちになる。
「合衆国は最高だ!」という最期の台詞がズシンと響く。