モウドクウサギ

バリー・シール/アメリカをはめた男のモウドクウサギのレビュー・感想・評価

4.0
カット割り多く、陽気なBGMでスタートし、終始ニヤついてるトムのためラフでおバカな雰囲気が充満していて素晴らしい。雑な手持ちカメラ風カットや、独白ファウンドフッテージも織り交ぜ、良い意味で節操がない。しかし、物語はノワールだ。このバランスが面白い。主人公バリーは天才的な飛行機パイロット。その腕を買われて、偵察撮影といった仕事をCIAから請け負うが、あれよあれよと言う間に、武器と麻薬の密輸往復便となってしまう。こうなると抜け出せず、しくじったり逃げ出せば命の保証は無い…、のにトムはヘラヘラしながら「俺の軍隊だ」と妄言を吐く始末。確かに、小型飛行機ックスで魅せる、急降下ピストン等、スゲェとしか言いようがないテクがあるが、頭の中はほぼ空だった。そもそも、金や好奇心に釣られて手を出してしまったのが大きな間違いだったのだ。喜劇的だが、いつ死ぬかわからない緊迫感が鋭く付き纏い、ゆるキャラ的な風格すら身に付けたトム主演の良作と言えるだろう。また、ハクソー・リッジやペイン&ゲインのように「実話じゃないと成り立たない」映画シリーズとして見ても面白い。