Tatsu

バリー・シール/アメリカをはめた男のTatsuのレビュー・感想・評価

4.5
トムクルーズ×ダグライマンっていう座組が最高に最高な形で成功してる映画。

まあウルフオブウォールストリートやペイン&ゲインなどに連なる破滅的アメリカンドリームものなんだけど、そのジャンル特有の面白さもさることながら、今回は全編にわたりダグライマンの真骨頂とも言うべき、テンポよくも様々なディテール、映画の正攻法に気を使った演出が冴えまくり。やっぱこの題材でスコセッシに似ないのは偉いと思う。

狭い滑走路、居眠り運転など飛行機が墜落する予感をちりばめておいて、いざ決定的に墜落すると、同時に主人公の人生もどんどん落ちていく。飛行機=主人公の人生の映画であり、それをトップガンのパイロット役がアイコン的に取り憑いてるトムクルーズが演じてるのもものすごく興味深いしグッとくるとこ。

あとこの映画の登場人物たちはトムクルーズ、エスコバル率いるメキシコチームを筆頭にやたら笑う。しかしこの映画に出てくるその笑顔は嘘をついたり、誤魔化してるときにしか絶対出てこないっていう一貫した演出で、だからこそ終盤ケツを見せるバリーを本気で笑う家族の画が染みるんだと思う。彼が最後にホームビデオに向かって笑顔で言うセリフもものすごく皮肉だ。

アメリカという国の、そして時代の犠牲者になってしまった男の、間違っててくだらない波乱万丈で軽薄な人生を、とってもアメリカ映画らしい毒っ気と皮肉で味付けした超絶よく出来たブラックコメディ。大好きだし痺れた!傑作!
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