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バリー・シール/アメリカをはめた男のohassyのレビュー・感想・評価

3.5
トムの新作が来ました、何も考えずとにかく観ましょうね。

近年のトムは大まか2種類。
MIシリーズ系スーパーマンが活躍する本格アクションと、ダメ男が翻弄されながら巻き込まれるコメディアクション。
本作はどちらかといえば後者で、監督が「オールユーニードイズキル」のダグリーマンだから、とてもおしゃれで軽快な仕上がり。
ただノンフィクションということで、キャラクターはそんなに単純ではなくて、ダメ男だけれどある意味スーパーマンでもあるし、そんなにダメ男か?と言われればそうでもない。
そこが、コメディアクション路線から少し外れる要素になっていて、終始どこか哀愁を漂わせる雰囲気を作っている。

「アメリカを騙した男」みたいな、全てを計算し世界を翻弄しまくったようなふれこみとはだいぶ違う。
バリーは葉巻の密輸程度の、誰も傷つかない悪いこともするけれど基本的には良い人間で、どう見てもビッチな奥様(ホントはすごく家族を大切にするしっかり者の母親)や子供、仲間をとても大切にする。
ただ、飛行機が大好きなパイロット(べらぼうに優秀)で、より楽しそうな方に突き進んでしまうブレーキの効きにくい男というだけだ。
そんな人間性がいろんな人に好かれたからこそ、国家もマフィアも結果的にはめられた形になってしまった。

冷戦、パンク、ヒッピーの時代に、現れるべくして登場し、流れ星のように光を放ちながらあっという間に燃え尽きた男。
「アメリカをはめた男」というよりは、「時代に翻弄された男」というところだろう。

7月4日に生まれて、ワルキューレ、そして本作と、トムはノンフィクションもとても良い。年齢的にこれからも増えそうで楽しみだ。
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