ほのか

アイヒマン・ショー/歴史を写した男たちのほのかのレビュー・感想・評価

3.8
アイヒマンを追え、顔のないヒトラーたちを観てこれを観ずにはいられなかった。

あんまりアイヒマンのことを詳しく調べると夜怖くなってしまうのでふんわりとしか知らないけど、正直、この人は人じゃないと思う。
人の思考を持ってない、人の形をした何かだと思う。

だから、レオが「なんで座っていられるんだ…。表情を崩せ…。」とひたすら人間面が現れることを心待ちにしながら裁判中のアイヒマンの様子を見続けているのが、アイヒマンが人間であることを証明したい気持ちが、よくわからなかった。

けど、"人間"は誰でも独裁者になり得ることを証明したかっんだってことがわかるとすごく納得した。時代と環境と周りから受ける影響で誰でもこういった思考を持ち得る。アイヒマンだってもし現代に生まれていたならばそこらで普通のサラリーマンをしていたかもしれない。逆に言えば、そこらのサラリーマンだって、もちろん私だって、大戦の時代に生まれていたらどういう思考を持っていたかなんてわからないことってことなんだなあ。絶対そうなりたくはないと今の私は思うけど。

体感的にはこの映画、2/3ぐらいは当時の映像を使ってる感じがした。
証言の様子、アイヒマンの表情。
なるだけ役者の顔を写さず当時の映像を使おうとするこだわりを感じた。
そして、収容所の映像。
そんなに多くはなかったけど直視できなかった。
今日の夜は寝られるか不安だ…。