フライ

アイヒマン・ショー/歴史を写した男たちのフライのレビュー・感想・評価

3.8
アイヒマンの映画は幾つか有るが、本作で感じたのは、ユダヤ人大虐殺の恐ろしさは当然だが、もう一つイスラエルへの警鐘にも感じた。
裁判を中継する中、虐殺の事実が突きつけられ狼狽していくのはアイヒマンではなく、改めて残酷な行為を認識させられる中継側の人達を見せられると滑稽にもみえた。本来であれば、中継する以上残酷な行為はホロコーストを知る上で知っておかなければならない事なのに…ホテルの女性オーナーがラスト近くで語った言葉がそれを象徴している。
更に証言する人達を世界中に見せてしまうと言う無慈悲な行為。アイヒマンを晒すのは多少納得出来るが…
アイヒマンは間違いなく死刑に値する罪を犯しているが、未来に向けて進むのであればイスラエル、そしてユダヤ人だけで罰するのではなく、世界の国々を巻き込むべきだったと思う。
最後の言葉を本作に使っているのは、自分目線だがイスラエルに向けられている様にもみえた。
色々な感情が湧く映画だった。
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