ぬーたん

奇蹟がくれた数式のぬーたんのレビュー・感想・評価

奇蹟がくれた数式(2015年製作の映画)
3.7
実話ベースの伝記。
インドの数学者ラマヌジャンの半生を描いた。
天才であったが、貧しく教育も受けてない為、定理を証明する術を知らなかったラマヌジャンを、イギリスに呼び共に研究をしたのが、ケンブリッジ大学のハーディーだった。

ラマヌジャンを『スラムドッグ$ミリオネア』のデーヴ・パテール。
穏やかで家族思いだが、数学に関しては頑固で自信家な利己的な面を持っている主人公を上手く演じた。病気の演技もリアル。イケメンだ、ジェイク・ギレンホールに似てない?
ハーディーはジェレミー・アイアンズ。教壇が似合います!
『リスボンに誘われて』でも教師で恋愛には疎い役だった。
こういう役がぴったり。
年取って本当に魅力が増した、大好きな俳優のひとり。
70歳でも色気があってかっこいいジェントルマン。実生活ではアイルランドにお城を所有してるとか、あー似合いそう。
演技も渋く、人との接し方が分からない数学だけを愛して来た不器用な男、ハーディーそのものに見えた。
この2人と共に研究に協力するのが、同僚リトルウッド、2人を繋ぐ。
トビー・ジョーンズが個性的で癒しの存在だね。
その他のオジサマ俳優もみな個性的で味があった。
スティーヴン・フライ、いいね、ゲイとは思えない(-_-;)
ケヴィン・マクナリーも意地悪な役にぴったり。

実在の数学者の伝記映画は多く、『ビューティフル・マインド』『イミテーション・ゲーム』『博士と彼女のセオリー』などが浮かぶが、全てとても良い作品で感動的だった。
製作者の本人に対するリスペクトがあるからではないだろうか?

この作品も、丁寧でリスペクトを感じるし、主役の2人がとても良かった。
ただ残念な点や腑に落ちない点が幾つかあった。
最初のインドでのシーン。職を得てようやく妻と母を呼び寄せ一緒に暮らし始めた状況は、いかにも貧しい。母は祈るばかり。奥さんは文盲だ。学があるとは思えない。いくらイギリスの植民地とはいえ、この母も妻も綺麗な流暢な英語を話しているように聞こえた。何故インドの言葉ではないのかな?
実話を丁寧になぞり過ぎて盛沢山で、端折っている部分が多く、飛ばして見てるような気持ちになった。
インドへ帰国した後もラストでそのシーンは入るが、いきなり1年後で、ちょっと急ぎすぎで付いて行けない感覚になった。
エピソードを減らして、じっくり描いた方が観易かったしスッキリしたかもしれない。
実話お約束のラストのご本人写真が、時代のせいかかなり古ぼけていて、なかった方が良かったなあ。
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