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ラ・ラ・ランドのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.0
「巴里のアメリカ人」など往年のハリウッド映画を強く意識した素敵なエンターテイメント映画です。古典的なストーリーに軽やかな音楽、そして何といっても鮮やかな映像美で安心感と心地よさを感じました。

楽しむのには少しコツがいるかもしれません。それは「他のミュージカル映画と比べないこと」です。そりゃあ上で挙げた「巴里のアメリカ人」なんて作曲はガーシュインで主演がジーン・ケリー、また近年毎年のように公開されるブロードウェイ上がりの作品も日々世界中から集まる厳しい目と耳にさらされた後に映画化されるのだから比較しちゃうと、作曲・歌唱・ダンス・演奏とどれをとっても実力不足。そうしたことは映画の空気として緊張感・高揚感の欠如につながるのですが、逆にそれが冒頭で述べたこの映画の安心感・心地よさという魅力につながっています。全神経を集中させ全霊を注いで精巧に作られたものを提示されるとこちらも背筋を伸ばし全神経と研ぎ澄ましてその良さを逃さぬよう鑑賞しないといけなくなりますが、本作はどっしり椅子やソファーに腰かけてポップコーンとコーラで楽しめる作品です。軽いのと軽やかは違う。この作品は軽やかな味わいです。

多くのシーンが古典作品からの借用なんだとは思いますが、いやぁ技術は進歩しています。本当に映像がきれいです。夢に生きる二人の物語ですが、この映画の美しさがまさに夢の世界。現実的にみてストーリーを考えると、セブはこのまま楽しく生きれそうだがミアはあんな妄想している時点で絶対どこかでうまくいかなくなりそう。でもこれは映画という夢の世界。夢のもたらす幸福感を嚙み締めながら鑑賞したい。

で、すぐに「巴里のアメリカ人」が観たくなって即鑑賞した(笑)。やっぱりこりゃ何度観ても最高だ。そしたら次は「オン・ザ・タウン(踊る大紐育)」が観たくなって、その後は「シェルブールの雨傘」を観ようかな(いずれも本作内にパロディがあります)... ヤバい。もう止まらない... 技術も演技も進歩しているはずなのになぜ同じことが現代でできないんだろう。多分時代でしょうか。明るい将来があると信じられた時代の人々が作った映画の醸し出す空気感は、将来に希望が持てない時代に生きる我々がいくら頑張っても出せないのかもしれないと思うと少し切ないです。