しろくま

ラ・ラ・ランドのしろくまのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.1
2021.11.30/042/TV録画
女優を夢見るミアは、あるクリスマスの夜、バーの中から聞こえてくるピアノの音色に心惹かれる。演奏をしていたのは売れないジャズピアニストのセブ。二人の恋が始まる。

アカデミー賞で6部門を受賞した大ヒット作。車の間を縫うように絶妙なカメラアングルで、歌と踊りを1カットで撮影した高速道路でのシーン、もうそこから観るものを引きつけて離さない。

互いの夢がかなうことを願い、励ましあいながら愛をはぐくむ二人だったから、セブが脚光を浴び、多くの観客の前で演奏することをミアは喜ぶと思ったけど、ミュージシャンとしての成功と夢をかなえるということは違うんだね。恋と仕事と夢、どれかがうまくいくと、何かがうまくいかなくなる。ミアにも大きな仕事が舞い込むが、離れ離れの生活となり…。

そして終盤、ミアが心惹かれたあの曲が再び流れ、クリスマスの夜の光景がよみがえる。もし、あのとき…。切なさMAXだね。

もし、クリスマスの夜に見た〝もう一つの世界〟が、現実となるためには、きっと二人は何かを手放さないといけないんだう。そう考えると、互いに夢をかなえることができたのだから、アンハッピーな結末ではないし、むしろこんな終わり方もありかもと思えてくる。たとえ結ばれなくても、出会ったことで互いに夢をつかむことができたし、互いを想う気持ちは、これからも変わらないんだろう…と。

観終わって、そう考えながらも、あのラストのシーンが頭から離れず、切なさの余韻に、しばらく浸っていたいと感じた映画だった。
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