河豚川ポンズ

ラ・ラ・ランドの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
5.0
愚かと言われても夢を追い続ける人達に向けた映画。
まだ2月なのに自分の中では今年イチと早くも決めたくなるような、とんでもない化け物が出てきたなあと感じました。笑
アカデミーの受賞作発表前までにギリギリ日本公開が間に合ったものの、年明けてからなんていくらなんでも遅すぎやしませんかね…

夢を追う様々な人々が集う街ロサンゼルス。
女優に憧れて数多くのオーディションを受け続けるも、連戦連敗が続くミア(エマ・ストーン)は、さすがに少し心が折れかけていた。
それでもと思い映画制作関係者の集うパーティーに出かけたりと努力を続けていく。
そんな日の帰り道、たまたま通りがかった小さなバーからジャズピアノの音が聞こえてくる。
ふとその音に惹かれて入ってみると、中では脇目も振らずにピアノを弾きながらも周囲の注目を一点に集めるセブ(ライアン・ゴズリング)がいた。
この瞬間の彼との出会いがミア、そしてセブの運命も大きく動かしていくことになる…

何を挙げても褒めてしまいそうになってしょうがないのですが、とにもかくにもやはりこの映画はミュージカル、その音楽と演技が見どころ。
初めの「Another Day Of Sun」、ミアがパーティーに向かう時の「Someone In The Crows」といったところでは特に長回しと中心としたカメラで圧倒されるシーンになっています。
正直なところ、自分が一番好きな曲は最後の2曲なのですが、ネタバレなことこの上ないので内容は伏せておきます。
まあストーリーは平々凡々というか特別凝った展開があるわけではないのですが、どうも自分はベタでもこういう話に弱いらしく、終わりに差し掛かったあたりから軽く泣いてしまいました。笑
隣の人がボロボロ泣くのでつられたようなところもありましたが、それでも久しぶりに精神的に来るモノでした。

主演はライアン・ゴズリングとエマ・ストーンと、演技力も歌唱力も申し分ありません。
ライアン・ゴズリングに至ってはピアノも自分で弾いてますからね、さすがミッキーマウスクラブ出身というべきか。
個人的には途中から出てくるジョン・レジェンドに一番びっくりしてしまったのですが、やはり本業歌手となると存在感も違いますね…

監督のデミアン・チャゼルは「セッション」を撮ってからのこれで、監督作としてはわずか2作目でノミネートというほんと絵に描いたような天才ぶりを発揮しています。
ネタバレめいたことを言うなら、この監督は最後に大どんでん返しとまでは行かなくても何かを持ってくるのが大好きですね。
本当はアポロ13の映画を撮る話で進めてできたのがこの映画だそうですが、そこからこんなのが作れるんだから本当の天才なのかもしれませんね。

ストーリー自体はさっき言ったように平々凡々なので、過度な期待をしたり(まあそれでも大半の人のハードルは超えられる出来だとは思いますが)、ミュージカル映画が生理的なレベルで本当にダメだという人以外は十分楽しめると思います。
2017年もまだ2月なのにこんな映画が出てくるとなると、今年も映画好きとしては嬉しさで頭を悩ませる1年にまたなりそうですね…