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ラ・ラ・ランドのkyonのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
5.0
”乾杯を 夢追い人に”
そう!!こんなミュージカルが観たかったの!!!

エマ・ストーン演じる女優志望のミアとライアン・ゴズリング演じる売れていないジャズピアニストのセブ。
彼らは夢を求め、ロサンゼルスへと訪れる。
夢を追う同志としてお互いを支え合う関係になる2人。
このあらすじを見たところで、そう珍しくないよね?ってなるでしょう笑

この「夢を追い求める人々」をテーマに、監督のデミアン・チャゼルが見せてくれるのは、彼自身がこの作品で実現したような熱意を持って夢を追い求め、もがく人間たち。
『ラ・ラ・ランド』ではその代表としてミアとセブにスポットが当てられているけれど、熱く夢を語り合ったり、大きな野望を持っている人々が非現実であるかのように扱われることもある現代で、誰もが心に秘める「夢」を思いっきり受け入れてくれるかのような優しさが画面に溢れています。

それはデミアンやキャストが「この映画が完成したことが夢そのものだ」って言っているように、いくら観たってこの画面を、世界を作り出すことにどれだけのエネルギーや熱意が必要だったのだろう…と思うくらい、愛おしい空気が漂っています!!

冒頭からその演出に、音楽に、色彩に、空気感に、まるごとそれを捉えるカメラにも、やられた!!!って感じ。
最初から鷲掴みにされたまま、そんな私たちをどこへ連れて行ってくれるのなんて思えば、ミアとセブの出会い、高揚、ときめき、そして2人が結ばれ、なんて幸せな時間…。
だからこそ、ラストにかけての展開にまたやられてしまうのです。

ラストを観たとき、ふと『ニュー・シネマ・パラダイス』をちょっと思い出して、夢に対する捉え方が近くて、だからこそ私はそのラストも含めてこの作品が大好きだなと思った。
映画好きのデミアンゆえに、おそらく色々観た中で今回選んだのが彼の得意分野の音楽も活かせるミュージカル。
面白かったのは、ちょくちょく映画好きへの小ネタが潜んでいるところ。ミアが観ていた『赤ちゃん教育』『汚名』なども懐かしかったし、『カサブランカ』の小窓が登場してきたり、セブが広場の電柱にぽんっといるのは『雨に唄えば』を思い出す。
あと『セッション』から引き続き登場するJ・K・シモンズは画面出て来たときテンション上がったよね笑
しかもキャラちょっと近くて笑

でもね、カメラが活き活きしていて、踊るようなカメラの動き、ロングテイクで撮られたいくつかのシーン、色彩豊かなセットや、ロケーション、ロマンチックなダンスシーン…タップからピアノ、ダンス、歌まで多彩なエマとライアン…。これはデミアンのミュージカルなんだ、って思ったし、アカデミー賞そりゃあノミネートするよね!!と納得の2時間。

そしてライアンのセブ…『きみに読む物語』から沼に落ちたのは私だけじゃないはず!笑
やっぱり彼の気になる子を追いかけるまでの過程はなぜこんなにもときめくのでしょう。アタックの仕方がツボなのかな、いやでもその後も常にときめかされたな笑

夢を追いかける上で、愛する人との未来が変わるかもしれない、
それは究極のテーマで、それでも夢追い人が必要なんだ、ってミアに歌わせ、自らの作品をもって頑張れよ!!って聞こえてきそうな、そんな力がこの作品にはある気がする。
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