ミヤザキタケル

ラ・ラ・ランドのミヤザキタケルのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.5
ラ・ラ・ランド
2/24公開ですが 一足早くレビュー。

夢を追う者が集う街・ロサンゼルス
映画スタジオのカフェで働く女優志望のミア(エマ・ストーン)は、オーディションを受けるも落ち続けてばかり。
将来自分の店を持つことを夢見るピアニストのセブ(ライアン・ゴズリング)は、ジャズへの強い拘りが邪魔をして道を切り拓けずにいた。
偶然に出逢った二人は恋に落ち、互いの夢を叶えるべく支え合いながら愛を育んでいく。
その果てに新たな一歩を踏み出す二人であったが、次第にその心はすれ違い始めてしまう。
夢を叶えようともがく男女の出逢い・葛藤を通し、誰もが胸に宿す夢 その情熱を 煌めきを 歯痒さを描い作品だ。

こんなにもワクワク ニヤニヤしている自分を自覚しながら作品を観たのはいつ振りだろう
何度も 何度も胸が高鳴った。

その胸に「夢」を抱く者であれば、作品世界へと没入するためのチケットを既に所持している。
冒頭から瞬く間に引き込まれ、「ラ・ラ・ランド」の世界の住人に あのシーンの一員になってしまう。

人によってはミュージカルが苦手だったり、いきなり歌って踊り出すことに違和感を覚える人もいるだろう。
ぼく自身、若干その気質を持っていた。
が、この作品を観てハッキリと分かったことがある。

家族と 恋人と 友人と過ごしてきた楽しい時間・悲しい時間
これまでの人生において幸福だったと思える時・不幸だったと思える時
その思い出に触れると、自ずと色だったり 匂いだったり それこそ音楽が流れ出したりはしないだろうか
あなたの人生の中で大切だと思える時間には、何かしらの彩りが添えられてはいないだろうか。

過去の思い出に限らずとも
例えば、気になる異性とデートに行く
手を繋ぎたいけど繋げない チューしたいけどチューできない
物理的現象としては男女の会話が繰り広げられてるだけだが、その心の中では台風が吹き荒れている
そんな状態で互いの指と指が偶然にでも触れ合ってしまったのなら、雷が落ち 天変地異が起きてしまう。

劇中において歌い踊り出す場面は、いつだって心の中で起きているセンセーショナルな出来事を具現化し描いていた。
そして、そこには必ず何かしらのエネルギーが宿っていた。

陰と陽なら 陽
闇と光なら 光
後と前なら 前

それらの性質が伴う場合にのみ起きる現象として描かれていたからこそ、ぼくは今作のミュージカル要素を難なく受け入れることができたのだと思う。


あなたの心の中にも ぼくの心の中にも、自らを照らすスポットライトがある。
その光に照らされている間は、世界の中心は自分で 物語の主人公も自分で 不可能なことなんて何一つない
夢と希望と可能性に満ち溢れ、誰にも否定されることのない理想の自分でいられる。
その世界では歌って踊り出しちゃうこともあるだろう。

でも、現実はそうはいかない
心の中のスポットライトだけでは通用しない。
大抵の人が世界とは無縁で 物語では脇役で 叶えられないことばかり
苦しくて しんどくて 死んじゃいたくなっちゃう現実を目の当たりにしたら、歌ったり踊ったりなんてしていられない。

現実においてのスポットライトとは即ち夢
「夢」を叶えるということ

心のスポットライトを糧に、現実のスポットライトを浴びるにはどうしたらいいのだろう。

自らの意志を曲げずに貫き通すこと大事なのか
柔軟に対応し 時には変化を受け入れることが大事なのか
変化という名の妥協を許し ハードルを下げることが大事なのか

その答えは人によって異なる
人の数だけ間違いがあって、人の数だけ正解がある
人の数だけ後悔があって、人の数だけ可能性が残されている。

一人で浴びるスポットライトに価値があるのか
誰かと共に浴びるスポットライトに価値があるのか
誰かと共に浴びたかったスポットライトに価値があるのか
想定していた色ではないにしろ、スポットライトさえ浴びられたらOKなのか

それもまた人によって異なるのだろう。


たとえ如何なる結果に至ったとしても、現実と向き合うことにこそ価値がある。
心の中のスポットライトにだけ縋って生きていたら ラクかもしれない
その幻影を「夢」や「理想」と呼んでいられる内はやっていける
叶えられるモノだと信じていられる内はやっていける
だが、いつかは やがていつかはと漠然と時を過ごしていたのなら手遅れになる

目先の安寧に ある程度の小金に 惰性の人間関係に甘んじていると、本来追い求めていた道を歩めなくなってしまう。

迷った時には、心から歌って 踊り出したくなる方を選ぶべきなのだと
歌って踊り出したくなっちゃう相手と関わっていくべきなのだと
それこそが現実においてスポットライトを浴びるための道へと繋がっていくのだと思う。


そのラスト、あらゆる想いを凝縮させた最高のシーンであった。
「セッション」のような迸る情熱ではなく、心の隅々にまで沁み渡るやさしく繊細なモノが宿っていた。

時に微笑みながら 打ちひしがれながら 涙しながら 嗚咽するのを我慢しながら
二人のラストシーンを見守った。

映画好きであればある程に引き込まれる世界観
細かな映画ネタが分からずとも、決して置いてきぼりを喰らわすことのない根本の面白さ

まさしく人生そのものを描いたような一本です。

そこにあるモノがたとえ悲しみであっても 後悔であったとしても、前を向いていられる自分でありたい
その現実を受け入れ 今を見つめられる自分に
笑顔でいられる自分でありたい。

一人で観るのも、家族 恋人 友人と観るのもアリだと思います。

ぜひ!ぜひ!劇場でご覧ください。

一点だけご注意!
この作品を観た後にサントラを聴くと、街中であっても 人に見られていようともステップを踏みたくなります。
踊りたくなっちゃいます。
現にぼくは深夜の銀座の街を小躍りしたりスキップしながら練り歩いた。

周囲の人や車に気を付けて「ラ・ラ・ランド」の世界に浸ってください。

青春★★★★
恋 ★★★
エロ★★
サスペンス★★★★
ファンタジー★★★★★
総合評価:A