転生Moljiana

ラ・ラ・ランドの転生Moljianaのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.1
『セッション』のディミアン・チャゼル監督による長編映画三作目にして現在、第74回ゴールデングローブ賞で史上最多7部門を受賞、第89回アカデミー賞で14部門ノミネートの超話題作。ロサンゼルスのカフェで働く女優志望のミアと何時か自分の店を持ちたいという野心を抱くジャズ・ピアニストのセバスチャンの恋模様とその顛末を多彩な音楽や衣装で彩ったミュージカル映画。
 TV局主催の試写会に応募した所、見事当選しましたので視聴して参りました。視聴したのは2/14なのに此処まで投稿が遅れた理由は聞かないで下さい(((

 まあアカデミー賞で『タイタニック』と並ぶ最多ノミネートを樹立した本作、当然切り口は無数、しかもネタバレを回避するとなると何を書いたら良いんやらって感じですが、何が一番度肝を抜かれたと云えばやっぱり冒頭でしょう!!
 もう実写の映像とは思えない美しさと洗練さ!!今作のメインテーマというべき名曲「♪Another Day of Sun」に乗せて、渋滞中の高速道路を無数の男優女優が組んず解れつの大演舞、曲の終わりに合わせ「LA LA LAND」のタイトルが出た瞬間、もう心の中では拍手喝采ですよ!!実際は誰もしなかったから私もしませんでしたけど!!
 因みにこのシーン、wikiによるとロサンゼルス南部のジャッジ・ハリー・プレガーソンICの一部を本当に借り切って撮影したそうです。しかも全編ワンカット。もう撮影賞だけ先にあげちゃって良いんじゃないですかね、『沈黙 サイレンス』が獲れなくなるのが残念ですが……。

 主演の2人もこれ又素晴らしい。私自身はエマ・ストーン、及びライアン・ゴスリングさんの出演作品は一切観ていなかったので伝聞でしかどういう方なのかを知りませんでしたが、2人共非常に技量があり器用な方だと感じました。特にライアン・ゴスリングさんは信じられない事に今迄ピアノ(ほぼ)未経験、3ヶ月の猛特訓を積んだ後、劇中数々の見事な演奏を披露する訳ですが、こういうエピソードを聞く度に役者の凄さを犇々と感じます。高台でのダンスシーン(しかもワンカット)も完璧でした。

 さっきからワンカットワンカット言ってますが、今作の特徴として「舞台演劇」を意識した画作りが非常に多いです。その為、細々とした編集が少なく、ミュージカルシーンではワンカット然り、音合わせの演出が多い様に感じました。エマ・ストーンを始めとした女性陣の衣装が派手、というか彩色が強いのもその影響でしょう。ミュージカル映画は完全に専門外なのであんまり詳しくは分かりませんが……。

 そろそろ長くなって参りましたが……音楽、映像、衣装、美術、演技はほぼ完璧。全方位に渡って魅力の溢れる映画で確かに満足のいく作品だったのは間違いないのですが……。正直な話、脚本が良くないというか……。話の主題として「夢を追う事」「夢を取るか、現実を取るか」が鍵となってるのは分かりましたし、私も大好きな題材です。でもそうだとしたら、あの終わり方は釈然としないし、私は好きじゃない。
 その上、前半の楽曲は前述した「♪Another Day of Sun」然り「♪Someone in the Crowd」然り非常に盛り上がる曲ばっかりなのに、それ以降はジャズらしい静かな雰囲気の楽曲が多いので、なんというか……盛り上がり損。いや、そういう曲も嫌いじゃないけど前半であんなに盛り上げてくれたのにこれはちょっとねぇ……。個人的な意見としては『シング・ストリート 未来へのうた』みたいに中盤とラストにも盛り上がる楽曲を配置して欲しかったかな。

 これ以上は超えてはいけないラインを超えそうなのでこの辺で(((
 私自身は少し不満点もある作品でしたが、今の時代に此処まで作り手の意欲に満ちていて、エンターテイメントの楽しさに触れる事が出来る作品は本当に珍しいと思います。某映画ライターが嘗て述べた「映画に求める物が全てある!」という御言葉――実際は別の映画を指していますが――正にこの映画に相応しいと思います。GAGA配給では珍しくIMAXでの上映が予定されている映画なので、是非ともIMAXで観るべき!

雑記:2度目の視聴の為にミュージカル映画を勉強しようと思ったものの、何を観れば良いのかさっぱり分からず撃沈。心の優しくてミュージカル映画に詳しい方、是非とも教えて下さい……。
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