mOjako

ラ・ラ・ランドのmOjakoのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ようやく待ちに待った日本公開。あらゆる面から見て理想的なミュージカル映画だと思います。

うまくまとまらないので個人的泣きポイントを3つだけ。
まず1つ目はオープニング。シネマスコープロゴからLAの渋滞するハイウェイへカメラがパンすると、様々な色や車種の車の中に様々な人種の人々が乗っていて、カーステレオから様々なジャンルの音楽が聴こえる。ハリウッドにおける多様性を見事に捉えたファーストショットから擬似的ですがワンカットで撮られたミュージカルシーンへ移行していく。ここでも人の服と肌の色、さらには多様な楽器やダンスが混ざり合う様なシーンで冒頭から圧倒されてしまいました。他にもフィルム撮影ならではの空のグラデーションの美しさ等素人レベルでも分かる技術的な達成も相当なものじゃないかと。とにかく下らない政治の話ではなく一目見てやっぱり多様性って素晴らしいじゃんと思えた事とミュージカルを蘇らせる為の作り手のこだわりや執念が画面から伝わってきて冒頭から不覚にも泣いてしまいました(゚ω゚)

2つ目はやはりストーリー、具体的には2人の見るある種の幻想であり願望であり後悔でありを示すラスト。今回改めてミュージカルってゆうのは突然歌い出したり踊り出したりするけど、それは彼らには世界はこう見えていたり聞こえていたりするってゆう表現なんだなぁと思って。もっと言えば映画ってゆうのはそうゆうメディアなんだと思う訳ですけど、その意味で今回のラストシーンの映画的な純度が高いというかまさに映画だなぁと思いました。結末的には間違いなくハッピーエンドだし2人の夢は完全に叶った状態で映画は終わるのになんでこんなに悲しいのか。直近で思い出すのはやはり「シングストリート」の妄想ステージシーンで、どっちもまさしくハッピーサッドな名シーンだと思います。あの時ああしてればとかこっちの道を選んでればとか過去にあった無数の可能性だけを2人は最後に見る訳ですけど、これは大なり小なり誰の人生にも共感出来る気持ちだと思う。32歳でこうゆう人生の移ろいみたいなものを描き切ったデイミアン・チャゼルはやはりとんでもないなと思います。

3つ目は"Audition"のシーン。この映画以外と前半は主役が熱唱したりするシーンはほとんどない。「セッション」のラストシーンにも共通しますが、本当に大事な一点まで出来るだけ映画的見せ場を取っておくという計算が見事に活きててそもそもカタルシスがあるシーンになってます。でもこれだけ感動したのはやっぱり個人的にミアとセブに感情移入した部分が大きくて、規模とかは比べ物にならないけどミアが映画会社のカフェでバイトする所は映画が好きで都会の映画館でバイトしてた頃を思い出した。それとミアの面接シーンとかセブがフリージャズじゃなくジングルベル弾いてるところは自分も一応やりたい事はやってるけど一方で実際本当にガッカリする事ばっかりだから痛い程わかる。特にミアの舞台が失敗する所は見てられないくらい可哀想でしたね。余談ですがここのエマ・ストーンの演技も印象的で必死に顔には笑顔を浮かべてるけど悲しみが溢れて痛々しい上、セブに対する怒りも感じ取れる実は物凄く深みのある芝居をしてると思う。まぁとにかくミアに寄り添って見てた分ここで歌われる歌詞、「夢見る愚か者たちに乾杯を」というのはミアの心の叫びであり同時に全ての夢を追う人間にとっての最高の讃歌だなぁと。個人的には映画見たり作ったり音楽やったりそうゆうの仕事にするとかって凄く贅沢な事でもっと人の役に立つ立派な職業やる方が偉いと思うんだけど、それでも何かを諦めきれない気持ちもわかるからここでのエマ・ストーンの魂の歌声は何度見ても泣いてしまいます。

映画としても、物語としても、個人としても文句の付けようがないと思ってます。何度でも見たいです。
mOjako

mOjako