peplum

ラ・ラ・ランドのpeplumのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.1
それはまるで冬の朝日に照り映える霜のようにキラキラとしていた。
『夢を見ていた』のコピーがいかに秀逸かをしみじみ思う。
オープニングシークエンスのまさにミュージカル映画然とした祝祭的な肉体の躍動と未来のアンセムたらんとするナンバー、更にはめくるめくカメラワーク、色彩豊かな衣装…。完全にやられた。ここで泣いた。
がしかし、その精彩は徐々に損なわれていくように思われた。セブとミアの出会いでしきりに印象づけられる約束に間に合わないというシーンはそのまま夢の時限性をよく表している。そして2人の前途はわりとご都合主義的に洋々なのがちょっと退屈だった。さすがは『セッション』の監督らしく手のアップが多用され、アンサンブルというよりも1人の傑出したプレーヤーにフェチズムがあるんだなーと思った。夢の映画らしく幻視される天文台シーンはデートムービーに相応しすぎたと思う。ラストのシークエンスはやはり『セッション』よろしく言語を置き去りにする外連味があって好きだった。
個人的にミュージカル映画は大人数で歌うシーンに興奮するタイプなので今作はストライクゾーンからやや外れており、『ジャージーボーイズ』みたいな友情とも腐れ縁ともつかぬ業に翻弄されながらそれでも歌う人の話が好きだから、なんか物足りなかった。ゴズリンとエマちゃんはとってもキュートだった。
おれがチャゼルのこと苦手なだけって話ですわ。
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