R

ラ・ラ・ランドのRのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.7
ワンシーンワンカット、長回しの多用、見せ場では、浮遊感と共に振り回されるような自由自在のカメラワークで遊園地のアトラクションに乗っているようなワクワク感と臨場感があって、素晴らしかった

冒頭からパキッとした原色の赤、黄、青の色使いは、観ていてとても美しく、ハリウッド(ララランド)で夢を追いかける者たちの青春の彩りを感じた
だからこそ最後は黒色のドレスを着ているミアにとって、夢を掴んだ時点で青春は終わり、本当の大人になってしまっていたことをよく表していたと思う

最悪の出会いだった二人が一気に心を通わすようになってしまうのがタップダンスで、ハイヒールから靴を履き変えるとお揃いの靴になり、息もぴったり合ってしまうっていう場面では、フレッドアステア時代のタップダンスへのオマージュを感じられて楽しく観れた

プラネタリウムの幻想的なダンスシーンで二人の恋の天にも登る気持ちを文字通り再現し、どんどん宙に浮いていき、宇宙の星空の中でダンスする、っていうのはロマンチックではあるけれど、普段は人で溢れかえっているグリフィス天文台を貸し切って、文字通り二人だけの世界に入り込んでる様子を描写しようとしてて、そこからさらに幻想世界へと誘い込もうとするのはほとんどコメディに近く、現実から二重三重にも飛躍しすぎてて観ていて少々置いてきぼりをくらった

最後の10分弱、後戻りできないほどそれぞれの道を歩んでしまったふたりが美化された完璧すぎる思い出たちと描けなかった美しすぎる未来を見せつけられるシーンはやはり圧巻だったが 二人の最後の微笑みを観ても、エンドロールが流れてから この人だったらどうなっていたの?という気持ちに 人は本当に蓋をすることができるものなのか という懐疑心を止められなかった

単純明解なハリウッドミュージカルのリバイバルかと思いきやフランスの「シェルブールの雨傘」を彷彿させるほろ苦い終わり方は個人的にはむしろなんだか煮え切らない感じがしてしまった 振り切るなら振り切ってそのまま豪快なハッピーエンドへと突っ切って欲しかった

短くまとめてしまえば 夢を追う二人は、愛を犠牲にして夢を手に入れたということになるけれど どうしても《理想》の世界の中でのさらに「理想」と「現実」を描いているという感じがして、浮き彫りにしたいのであろう「理想」と「現実」のコントラストにセンチメンタルな味わい深さを感じ取ることはできるものの、その「現実」すら実感のない空虚なリアルである気がして、どこか妙な違和感が少しあった
あのパラレルワールドの流れるような描き方は心の琴線をなぞられるぞわぞわした感動があり、確かに素晴らしかったものの、お互いに結局夢はちゃんと叶うなら、全部が結局はうまく行って、全盛期のハリウッドミュージカルさながらの幸福感に包まれたダイナミックなフィナーレに落とし込んでしまっても見応えはあった気がする