潮騒かもめ

ラ・ラ・ランドの潮騒かもめのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.0
良い映画。劇場でミュージカルやるんじゃなくて、映画でミュージカルやることの可能性を広げているカメラワーク・シーンの構成が意欲的でかなり好印象でした。

テーマとしてはノスタルジックにやってもいいところを、あえてちゃんと現代設定でやるところは、志として素晴らしいと思います。いえ、「アーティスト」はとても好きで、あちらをdisってるわけでは絶対にありませんが。

とはいえ、やはり現代に舞台をおいているからこそ、登場人物の所作などへの眼差しが厳しい自分を感じます。そういう自分のせいですが、登場人物への惹き込まれ度はそれほど高くなりませんでした。


以下、作品自身とは関係のない点含めて、辛口なコメントを。

主人公(セブ)がジャズかぶれで、一緒にセッションする仲間がみんな肌が黒めなのに、主人公のみ白人っていうのは、別に俳優その人が悪いとかプロデューサーが悪いとは思わないけど、観る側に問題はあるよね、とは思うのです。市場の要請の反映ですかそうですか、と嘆息はします。主人公(ミア)周辺の、恋愛が絡みそうな対象の男性が、セブ以外も揃って白人なのは、さすがにプロデューサーレベルでどうかと思います。ちょい役もいるんだから、少しは混ぜても良かったのでは。ミアが田舎出身っぽい設定だったからなのかな?ジャズバーの客とか、ダンサーとか、黒人ラテン系アジア系混ざってみんなかっこいいのに、女優の仕事周りとか恋愛関係とかが白人ばかりでした。ハリウッドの現実を皮肉ってる、というようなシニカルなスタンスの映画ではないはずなんだけど。はてさて。

…と、鑑賞後にお茶飲みながら振り返っているのですが、「ミア一生懸命でかわいいよね!(≧∇≦)」ってならなかったのって、上に書いたようなことが意識下に引っかかって「まあ本人としては真っ直ぐにがんばってるんだろうけど無意識に他人の値踏みを現実的にしてる怖い娘」って印象が、大きすぎる眼も併せて私に覆いかぶさったのかな…。
…求め過ぎ?ごめんなさい。

あと、俳優が頑張らなくていいから、手元映さなくていいから、良い演奏優先で聴きたい派でした。ピアノの音が、もっとメロメロになりそうなかっこいい奴でトリコにしてくれても良かったのよ、映画としては。俳優のかっこよさは落ちるかもだけど、セブっていう役のかっこよさは、いいピアノでもっと上がったはず。「恋に落ちちゃうよこんな音色ひかれたら!ダメ男でいいー」って思える音で襲ってくれて良かったのよ!あくまで個人の好みです。求め過ぎでごめんなさい。