夢追い人に乾杯を、たとえ愚かに見えても。
エマ・ストーンが情感たっぷりに歌い上げる名曲。
登場人物は夢を追いかけ、LA(ラ・ラ・ランドのタイトルにも含まれていますね)に集ってきた者たち。
主人公のセブもまたそんな夢追い人の一人な訳ですが、音楽も映画も「古き良きもの」がピークを迎えて転換を迫られるなか、それでも「古き良きもの」にこだわり続ける愚か者なんですね。
そのこだわりは一種の狂気でもあるんだろうけれども、だからこそいとおしくも思える。
これは監督のデイミアン・チャゼルにも言えることではないでしょうか。
本作のテーマが本作の出自自体とリンクすることでより味わい深い作品となっています。
今作はかつてのミュージカル映画への徹底したオマージュが捧げられています。そしてミュージカルシーンも「そうだ、映画ってエンターテイメントなんだ!」と改めて認識させてくれる出来です。それだけでも一見の価値ありですね。
とはいえクライマックスの時間の省略が良い意味でも悪い意味でもブランクを感じさせてしまうところはあるのですが。
映画は新たな局面を迎えていますが、主人公たちと同じようにそんな荒波であがこうとした、そして見事に成功をおさめた一本です。