アカデミー話題作を今になって鑑賞。
ストーリーは王道ハリウッドというかもはやディズニーのような夢と愛の物語。ラストは少し王道から逸らすもののわかりやすいプロットと言える。
注目すべきはやっぱり演出面。なんといっても突然始まるミュージカルシーンが見所。車の上でのダンスオープニングから女優の卵たちの家でのダンスとか。現実とファンタジーがうまく切り替わる表現が面白いし、色彩もすごくカラフルで綺麗。
個人的に最も気になったのは長回しで、プールでのパーティ、ジャズの演奏やオーディションのシーンなどミュージカルになるところを、だいたい長回し1.2カットで撮ってしまう。カメラワークもすごすぎるが、役者も一発でこれを演じきれるのだからすごい。
舞台ミュージカル感が随所に感じられる映画だった。主人公以外の周囲がスローモーションみたいに動いたり、周りが暗くなって主人公にだけスポットライトが当たったり、急に空中に浮かんだり。映画の文法というより舞台の文法を感じた。
ただ、この映画を単なる舞台の映像化にとどまらず、映画として良いものにするためのカメラワークの工夫がこの映画を一段と素晴らしいものにしている気がした。長回しもそうだけど、カメラが低いところを這って動いているかと思えば急にぐーんと高い位置に動いて人物を俯瞰したような構図に移ったり、プールのシーンではカメラが高速でぐるぐる回ったり、人物をあえて鏡に映った姿しか映さなかったり。
さすがはアカデミーを総ナメにするだけの映画。