じわじわと切なく悲しい。
主人公2人の登場シーン、最初はとても原色づかいが多く、後半になるにつれて自然に変わる。また、最初は道路を同じ方向に歩いているシーン→別々に分かれるシーンがよく出て来る。
2人が結ばれないことは初めから暗喩され、夢だけを追う2人には明るい原色、それが現実へと抜けた瞬間色あせているように感じた。
映画の中に映画のフィルムが入り込むような描写(春から夏への移り変わり)は、これは間接的に2人はまだ夢の中にいるということを表しているのではないかと思った。
結局ミアは自分の夢だけを一生懸命に追いかけ続けるセバスチャンが好きで、そこに自己肯定感を生み出していたのだと思う。
自分に似ていたから。それが、奇しくも最終的には別々の道へいながら同じ方向を向いて夢を歩むことになった。
ミアがパリへ旅立ち、2人が離れ離れになった5年のうちに変わらなかったものは愛ではなく夢を追いかける気持ち。
最後のシーン、本当に切ない。夢を実現するためにはお互いがそれへと一直線に打ち込むことが必要であると分かっている。
分かっているからこそのあのダンスシーンなんだろうなあ。それが一番きっとお互いにとってよかったと納得しようとしているんでしょう。
心に残る映画でした。