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ラ・ラ・ランドのサイトーのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.4
何かを得るには何かを手放さないといけない
夢を叶えるというのは何かを捨てること

…というのがテーマだと感じた。

前半はミュージカルのシーンが多く、多幸感に包まれた雰囲気があった。でも"夏"が来て流れが変わった。後半の50分は別格の完成度だった。映画を多く観ていると、たまに「神がかり」的なシーンに出くわす。例えば「アデル、ブルーは熱い色」のエンディングや「グラディエーター」でマキシマスが名乗るシーンがそれだ。「ララランド」の後半50分はまさに「神がかり」的な時間だった。一秒たりとも目が離せなかった。

デイミアン・チャゼルは「セッション」と「ラ・ラ・ランド」で「夢」が人生を変えるということを表現した。おそらく、「セッション」には「夢を追うことは狂気に染まること」というメッセージがあった。そして初めに書いたように「ラ・ラ・ランド」には「夢をかなえるというのは何かを捨てること」だというメッセージがあった。デミイアン・チャゼルは「信じていれば夢は叶う」とか「夢を追いかけると幸せになれる」とかそういうことは言いたくないんだと思う。

夢を追いかけても幸せになれるとは限らない。夢を追えば、「普通の暮らし」はできないし、大切なものを手放さないといけない。…それでも、夢を追う人生は美しい。

…というのがデミアン・チャゼルの言いたいことなんじゃないかと思った。