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インクレディブル・ファミリーのzooのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

あいかわらずピクサーの作品は本当に面白いです。まずなんと言ってもCGの技術力の高さに惚れ惚れしてしまいます。アニメーションの可愛らしさをベースに、ものすごく柔らかい動きがシーンそれぞれの躍動感とあいまって、見ていて気持ちいい。今回、イラスティガールが大活躍しますが、そのディフォルメされたキャラクターに外見、内面共に、女性の魅力が凝縮されていますね。

前作の記憶が実はあいまいなのですが、ヒーローが活躍してはならないという法律が制定されている世界。それは、才能の突出した人達がリスクを背負って物事を実行しようとする時、批判的な意見が出る現実の社会を上手く表現していると勝手に思いました。

基本としているのは、家族の物語であり、ある素敵な家族がおまけとしてパワーを持ってるが故にスーパーヒーローである彼ら。抱える悩みや葛藤は、普通の人間と何ら変わりありません。そんな彼らの姿を見て、一般市民である鑑賞者の私も、ヒーローに対する憧れを持ちながら、別の世界の住人という感じではなくて親近感を持てるし、共感することもできました。

絶対的なものが存在しないところもいいですね。今回スクリーンなんちゃら(スレイバーだったっけ?)が敵だったわけですけど、歪んだ信念であるとは言え、完全な黒というわけでもサイコパスでもない。ヒーローも聖人というわけでもない。(それでも物凄く誠実な人達には変わりありませんが…)そんな登場人物達の戦いである本作。

愛する両親に起こった悲劇、それは、父が他人に命を預け、自分自身で行動しなかったために起こってしまったと考えた娘は、後にスクリーンスレイバーとなるわけですが、彼女は戦いに敗れました。けれど、その考えを間違っているとも思わない。とはいえ、スーパーヒーローの存在は、一般人に父のような考えを浸透させてしまうため、根絶やしにする存在という考えも正しくはないでしょう。

結局の所、自分自身でベストを尽くすべき。ただ、どんなに努力し尽くしても背負いきれない荷物を、時に優しく抱えてくれる存在がいる世界は素晴らしいという考えに着地します。

子供も大人も楽しめる素晴らしい作品だと思います。
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