こたつむり

インクレディブル・ファミリーのこたつむりのレビュー・感想・評価

4.1
★ 育児は世界を救うことより難しい。

「続編の方が面白い」
とゲームではよく聞く話ですが、映画では稀。しかし、それを易々と行ってしまうのがピクサー。もうね。感嘆の溜息しか出ません。

だから、本作も素晴らしい続編でした。
父親が育児に参加すること(イクメン)。女性が社会で働くこと。誰かに頼ることの意味と意義。自分の頭で考えること。…色々な問題をミキサーに詰め込んでギュッとまとめた濃密なヒーローの物語なのです。

正直なところ、心が休まるヒマはありません。
喩えるならば喜怒哀楽の激しいジェットコースター。ヘレンが、ボブが、ヴァイオレットが、ダッシュが、そしてジャック=ジャックが。彼らに振り回される2時間なのです。

この情報量をまとめる手腕は本当に見事。
あえて難を言うならば、心の機微を描く部分…それだって鑑賞後に感じたことですからね。鑑賞中はスクリーンに釘付けなのです(勿論、フロゾンやエドナも大活躍!)。

ただ、逆に言えば。
子供たちには噛み応えがあり過ぎるかも。根底に流れるテーマがあまりにも骨太ですからね。勿論、何度鑑賞しても楽しめる…という側面もありますけど。

あと、スタッフロールを眺めていて思いましたが、日本語吹き替えの配役が上手いですよね。他の作品で本業の声優さんではないために首を捻ったこともありましたが、本作の場合は違和感ゼロ。綾瀬はるかさんなんて本業よりも良かった…なんて言ったらファンに怒られるでしょうか。

まあ、そんなわけで。
前作を容易に飛び越えてきた驚異の続編。
今後のシリーズ化にも期待したいところです(製作者が望む限り、シリーズを続けることが出来る展開も、他の映画関係者にとっては驚異的だと思います)。

最後に余談として。
本シリーズで最強の存在はジャック=ジャック。これは異論がないと思いますが、彼と渡り合う存在が本作で出てきます。そう考えると…最強の敵は《スクリーンスレイヴァー》や《アンダーマイナー》ではなく“ヤツ”じゃないでしょうか…?
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