hi1oaki

インクレディブル・ファミリーのhi1oakiのレビュー・感想・評価

3.8
前作『Mr.インクレディブル』は2004年、ピクサー製作&ディズニー配給で公開。
2008年には『アイアンマン』の公開でマーベル・シネマティック・ユニバースが始まり(ちなみに『ダークナイト』も同年)、スーパーヒーロー映画主流の時代が始まる。
そして2012年にはそのMCUもディズニー傘下に入り、スーパーヒーロー映画(MCUに限らず)が毎年当然のように何本も公開される世の中にいつの間にかなってた。
前作公開当時の2004年はサム・ライミによる傑作『スパイダーマン2』が公開され、バットマン映画も下火の時代を乗り越え『ビギンズ』の公開を半年後に控えた状態で、アメコミヒーロー映画は上り調子。原作を持たない『Mr.インクレディブル』が成功した要因としては、多分に参考にしたであろう『ファンタスティック・フォー』や『ウォッチメン』が、まだ映画版は公開されていなかったのもあるかと。
そして『アベンジャーズ』や『ジャスティス・リーグ』に『X-MEN』の続編と…スクリーンには(どころかTVにも)大量の正義の味方が投入され、観客がスーパーヒーローに食傷気味になりつつある2018年、インクレディブルな家族が14年の時を経て再び登場したわけです。
前作と今作の肝である“ヒーローは危険な存在”という語り口は、コミックでは1980年代から『ウォッチメン』やバットマンの『ダークナイト・リターンズ』で確立されていて、マーベルも2006年に『シビル・ウォー』でそれをやってる。映画でもそれらは『ウォッチメン』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』としてそれぞれ映像化されている。

…というわけで、さんざん使い回された設定をわざわざ続編でもまたやっているわけなんだけど…

それでも面白いんだよなー。
そこは流石のピクサークオリティというのもあるし、監督・脚本のブラッド・バードの巧さもある。単なる子供向けアニメというわけでなく、コメディとしてディズニー配給に堪える上品だけどお高くとまらない笑いの匙加減が絶妙。

家族ヒーロー物としては、マーベルの『ファンタスティック・フォー』がいつまでも映画で成功しないのも、インクレディブル一家にとってはいいことなのかも。

ただ、悪党退治と子育て話はそれぞれのエピソードとして独立していて、たいして交わらないまま終わるので、ジャック=ジャックが“あざとい”役回りに思えてしまう。Mr.インクレディブルの父親としての成長が、何か事件解決に繋がれば物語として一段上のモノになったのになとは思う。

いや、全然面白いんだけどね。
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