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LION ライオン 25年目のただいまのTSのレビュー・感想・評価

3.6
【奇跡中の奇跡】77点
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監督:ガース・デーヴィス
製作国:アメリカ
ジャンル:ドラマ
収録時間:119分
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2017年劇場鑑賞35本目。
副題が結末を伝えているというどうしようもないものですが(原作のタイトルがこういうものなので今回は仕方ないのかもしれませんが)、それでも実話ということでまずまず良い映画と感じました。ただし、何故か泣けませんでした。結末が大体予想できているからということと、道中の主人公にあまり感情移入出来なかったことが敗因かもしれません。

1986年のインド。5歳のサルーは文盲の母親と兄妹と暮らしていた。ある日、兄の仕事についていったサルーは回送電車で寝てしまい迷子になるのだが。。

前半の迷子になる一連のシーンは凄惨なものです。インドはエキゾチックな場所で、楽しむために是非行ってみたいという人にこのシーンを一度見せたいものです。果たしてこれを見て、行って見たいと思うのでしょうか。インドでは数多の子どもが孤児になっており、またそれを狙う者に誘拐されることも珍しくないようです。警備員と思しき人物も、大人が子どもを攫おうとしてるのに呆然と見ているだけという有様。これが人間という生き物のありのままの姿と言えばそれまでですが、やはりインドの厳しい現状を見せつけられた気分です。

そして中盤以降はがらりと雰囲気が変わり、オーストラリアの夫婦により養子として育てられます。しかし、やはり元の家族をいつまで経っても忘れられないサルーは、とある機能を用いてめげずに探します。これはもう奇跡中の奇跡としか言いようがない。運が良くなければ恐らく今でも探し当てることは出来ていないでしょう。実話なのですがあまりにも出来すぎた話。このあたりから、少し冷めてしまった自分がいたのかもしれません。実際はこんなに甘くはないでしょう。

本来ならもう少しスコアは低めでしたが、やはり実話映画は最後の最後で挽回してきます。インドだけでなく、恐らく他の発展途上国の現状も端的に示した作品。個人的にはもう一捻り欲しかったものの、アカデミー賞にノミネートされるだけの要素はあると感じました。
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