モウドクウサギ

LION ライオン 25年目のただいまのモウドクウサギのレビュー・感想・評価

4.5
グーグルアースムービーの決定版。幼い頃、誤って回送電車に乗り、インドのど田舎からコルカタまで運ばれ迷子になり、養子となり、25年を経て生家を見出すまでの話。空撮や広角での絵が多用され、彷徨う主人公のちっぽけさ、途方に暮れる様がよく描かれている。物語の筋書きは知れている中で、いかに演出していくかが肝となるが、実話ベースであり、登場人物の考え方や生き方の多様性が感慨深い。映画の要素に旅は付き物だが、往路は迷子になる絶望的なもの、そして、復路は望郷を伴う希望的なものと、都合よく出来ており映画にひどく向くプロットだ。やや溜めの演出が多く、冗長的でひと昔前の作品のようにも感じるが、時間を要した主人公の心境にも重なる。わずか半日いただけだが、デリーでの混沌とした情景が思い出されるとともに、遠い昔に住んでいた自身の記憶も掘り起こされた。