鹿江光

LION ライオン 25年目のただいまの鹿江光のレビュー・感想・評価

4.0
≪80点≫:人生の答えを探す旅。
久しく良い映画を観た。家族にまつわる壮大なドラマかと思いきや、養子・ユニセフ・貧困・人身売買・ストリートチルドレンなどなど、考えさせる要素がけっこう詰まっている。
グーグルアースで自らの人生を辿り、本当の家族の元へ帰るドラマでありながら、それは美しい景色を追うロードムービーでもあり、積もりに積もったラブストーリーでもある。育ての親と生みの親で揺れ動き、自分のアイデンティティが崩壊し再構築されていく様が綺麗な流れで描かれている。
サブタイトルで結末はだいたい予想付くのだが、その結末の描き方もとにかく自然体で、大袈裟な脚色もなく、厚かましさが全くない。だから良い。視聴者の感情移入を決して邪魔することなく、物語の中へと誘ってくれる。ドキュメンタリーを観ているかのような淡々とした演出に、純粋に感動できる。前半で丁寧な語り方をしているから、終盤のフラッシュバックも違和感なく、一番の盛り上がりとしてグッと心を掴んでくる。これが実話だというんだから驚きだ。しかも2012年とかかなり最近。人生はフィクションよりも大きな感動と幸せに満ちている。
タイトルに隠されたメッセージも胸を打つ。ラストカットの演出も良く、心地よい鳥肌が立った。最後に語られる真実も、それまでの物語に深くのめり込んでいるが故に涙を抑えきれない。『スラムドック・ミリオネア』の時もそうだったけど、なんかインドが舞台の壮大な話、個人的には結構好きだなぁ。待てよ、デヴ・パテルが好きなだけかもしれん。あとルーニー・マーラはこの作品でも美しさMAXであった。結論、グーグルアースで世界に旅立てる時代の進歩がすごい。一度は自分の住んでいるところ調べて衛星写真見ちゃうよね。
鹿江光

鹿江光