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LION ライオン 25年目のただいまのyumeayuのレビュー・感想・評価

4.0
OK! Google 故郷を探して!

実話がベースということで行き着く先は分かっているのに、こんなに感動するとは思わなかった。
現代版「母を訪ねて3000里」といったところか。

5歳のサルーの演技がすごくって、本当に演技なの⁉︎ってくらい自然。まるでドキュメントを見ているようだった。
もう、ありえないくらい絶望的な状況なのにサルーは決して弱音を吐かない。ボロボロのサンダルでパタパタ走る姿がなんとも健気。

その持ち前のバイタリティは25年経っても健在で、5歳の記憶を頼りにGoogle Earthで故郷を探し始めます。

しかし、それはそう簡単な事ではないんです。
おぼろげな記憶だけで故郷を探すという物理的な事だけではなく、これまで何不自由なく育ててくれた里親への想いや、自分のルーツやアイデンティティに対する気持ちに悩み葛藤し続けます。
Google Earthですから、自宅のパソコンに向かってひたすらマウスを動かし、画面とにらめっこな訳ですが、サルーはそうしながらも心の中で自分探しの旅をしていたんですね。

そして、今作で改めて感じたのが母親の愛情の深さ。
実の母親は言わずもがなですが、ニコール・キッドマン演じる里親の愛情も本当の親のように深い。
終盤にサルーを養子に迎えた理由を語るのですが、これはちょっとビックリしましたね。こういう考えかたもあるのだと、自分の価値観を覆されました。

なんだか最近、こういった家族をテーマにした物語に弱くってウルウルきちゃいましたが、ここまで感動できたのは実話に裏付けられたストーリーもさることながら、映画としてドラマチックに仕立てられた脚本も見事だったからでしょう。
タイトル「LION」の意味も最後に明かされますし、エンドロールまで涙腺緩みっぱなしでした。

いい映画だったなと感傷に浸ってたら、制作会社のところにワインスタイン・カンパニーの文字が…。
今作が日の目を見たのもワインスタイン氏の尽力があったからのようですし、作品に罪はないんですけど、なんか複雑な気持ち(´・ω・)
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