ただの感動映画でないところが良かったと思うんです。
作り手から必要以上の感動させてやるぞ〜というイヤらしさを感じませんでした。
ずっと主人公が心のどこかで感じていた本当の家族に対しての申し訳ないという葛藤を、きちんと映像で見せてくれたところが非常に好感を持ちました。そういう内省的なモノを映像で見せるのをって難しいと思うんですが、本作は成功しているんじゃないでしょうか。
あらすじはお涙頂戴で万人受けしそうですが、いざ見てみるとクライマックスを除けば、実際は暗い映画だと僕は思っています。
例えば、あとから家族に加わった血の繋がりのない兄弟が、おそらく何らかの虐待を受けて精神的外傷を負っているわけですが、そのことを明らかにされていないところとか。
小さい頃に施設に入れられていたときに、頭を壁に打ちつけていた少年が、夜中に男に引き渡した看守っぽい人が「朝までに返してくれよ」みたいなことを言っていたシーンとか。
地下通路みたいなところで子供たちが段ボール敷いて寝てたら大人に連れ去られるシーンとかが、本作に深く濃い影を落としているのではないでしょうか。
要するに、これは単なる感動映画じゃないぞ!ってことです。