何もかもが究極的

LION ライオン 25年目のただいまの何もかもが究極的のレビュー・感想・評価

3.2
迷子を恐怖として描いている。子供が何も知らない事を吸収力がある、好奇心を刺激するとか大人は良いように解釈しがちだが、何も知らないし無力だという事に恐怖を感じた自分の幼少期を思い出した。
大人は都合良く現実を塗り替えがちで
ある程度物事を知り1人で生活できるようになると幼少期を美化して「ああこんなものか」というように知らない物事に恐怖を感じた自分を可愛いなどと適当に都合よく解釈しがちだ。
だけどそれができるのは、子供時代と大人の自分が全くの別人だからだ。他人に対して好きな事を言える感覚と似ている。
子供の頃の恐怖を感じている自分は、自身を可愛いなんて感じる余裕もなく、知らない事から自分の身を守るのに必死だ。
人は大人になり子供を持ち親になる。
そして知らない事に怖気付く子供を口当たりの良い言葉「可愛い」などと形容する。でも親だから、自分もそれを経験したからと言って、子供の気持ちがわかるなんて大間違いだ。わかった気でいるなら、それは大人が自分の劣化したまがい物の感情を子供に押し付けているだけだ。
子供の考えている事は理解できるなんて思い上がりで、彼らにも立派な言い分があるという事を知った上で、初めて親として行動できると思う。

それができない馬鹿が溢れているから、馬鹿が馬鹿を生む恐ろしいループが生まれている事は間違いない。