エンポリオ

LION ライオン 25年目のただいまのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

まんまとやられる最終盤。
幼い頃に兄とはぐれたサルーは偶然乗り合わせた汽車のため遠く故郷を離れ、カルカッタの孤児院を経てオーストラリアの温かい家庭へと、いつの間にか養子にもらわれていた。大人になったサルーはふとしたことをきっかけに25年間振り返り続けていた故郷をより一層強く想うようになる。
これは邦画洋画を問わずに作品によっては感じざるを得ないことで、情報としての距離感が掴みにくいような設定やテーマには、しっかりと踏み込めていないような歯がゆさが付きまとう。この作品の前半部も違わずその一種で、しかし非常にコンパクトに作られていたため、その意図は分からないがおかげで後半の展開にすんなりと繋げていくことが出来た。
色々な要素が感じられる作品で、その中でも弟と呼ぶべきマントッシュの存在は大切だろう、と感じた。弟を否定する行為は自分自身を否定することにも、どこかで繋がってしまうはずで。サルーとマントッシュの関係性が非常に重要な役目を果たしているように思えた。
情報網も交通の便も格段に発達した現代において、自由気ままに移動することの出来るこの現代だからこそ、この作品はまた少し違った角度から刺さり得るのではないだろうか。
開始10分でおおよその流れが読めてしまうような幕開けにも関わらず、最後にはしっかりと持って行かれたのは実話としての美しさがあったからこそなのだろう。
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