<概説>
5歳の頃、少年は迷子になった。
帰るべき故郷はおろか母の名さえもわからず、彼は施設に預けられる。彼が帰還を果たすのはそれから25年後ーー家族と執念の再会を果たした男性の奇跡の実話。
<感想>
感動的な実話の裏でインドの貧富を一番に感じました。
記憶を頼りにGoogle Mapで故郷を探したのは25年後。サラッとこのあたり流されていますけれど、その年月実に25年ですよ。先進国なら最先端の建築物が廃棄施設になるくらいの年月はありますよ。
その間故郷がロクに様変わりした様子もなく、生活水準が進歩した様子もない。これが日本に住んでいる人間としては悪い意味で驚異的。
またこの国で出自不明の人間なら、その後の人生大きなハンデを追うものです。親元から巣立った人間の方が、身元不明の孤児よりも未来の選択肢は多いはず。
それがインドなら施設で養子になるのを待った方が、実は未来が開けるというのが妙に物悲しい。ソレって生活苦でわざと懲役刑喰らいにいくようなものではないですか。
細部を見れば見るだけに、エンドクレジットの心遣いに胸が苦しくなります。
ただ感動物語として流せない、貧困地帯の格差問題も取り上げている社会派作品のようでした。