Torichock

イット・フォローズのTorichockのレビュー・感想・評価

イット・フォローズ(2014年製作の映画)
4.1
「It Follows/イット・フォローズ」

怖かったというショックこそが、ホラー映画のホラー映画たらしめる要因であると思ってた。だけど、そのホラージャンルと映画のテーマがシンクロしているというか、その感覚がとても新鮮。

「ロスト・リバー」でも味わされた、デトロイトという世界最高レベルの退廃しきった悲惨なゴーストタウン。そして、わざわざ個人的に"デトロイトシティ映画祭"と評して「8mile」まで見てきて分かったのは、この街の行き場のない将来が指し示す絶望的な未来。

そんな画面に映る絶望から見える世界は、この映画における"それ"が、性病がどうとか、HIVとかそんな浅い考えではないのは目に見えて明らか。
大人の存在がほとんどと言っていいほど排除されてるのも、この街で成長し、やがて大人になるという事に対する、絶望的な未来を象徴してるように感じる。

ホラー映画の何が怖いかって、それは

追いかけてくるものに捕まったら死ぬ

ということ。
そんな、ごく当たり前のルールを、ゆっくりとジワジワと確実に、かつ誠実に描いたからだと思う。
そして、この映画における、その死というものそれ自体が、僕が思うに、ゆっくりと追いかけてくる、この街と一緒に朽ち果てていくように大人になることへのタイムリミット、そして何もしないで足を止めた物は死ぬという当たり前の生と死のことだったんだと思う。

最後に追いかけてきた"それ"は、僕の記憶が間違えでなければ、ジェイの父親に見えた。
ジェイの父親は、この街で足を止めて死んだ"それ"のように見える。
イケメン"グレッグ"は、きっと"それ"=停滞、いつか人生は終わる日が来る、という存在がいつか自分にも迫ってくるものだということを甘く見てしまった結果なのでは?
かと言って、あのウジウジした幼馴染みもどうかと思うけど。
(ウジウジした奴って、たまに低確率だけど、すごいムカつく時がある)

奥域のある画作り、あるいはシンメトリーに捉えられた画面構成は、奥から迫ってくる"それ"を映し出すのにとても美しかったし、ゆっくり迫ってくる"それ"は、本当に怖かった。


だけど、最後の最後に見えた後ろ姿の画は、彼らのこの先に未来が開かれているかのように見えた。
生きることへの挑戦のようにも。

とても怖くて、美しくて、爽やかな映画でした。


最後の最後だけど、最初の全裸のアイツ、屋根の上の全裸のアイツ、のっぽのアイツ、アイツらよかった。あの、子供のアイツはやり過ぎだけど。アイツさえ出てこなければよかったな。

あと、〇〇子だとか、〇ー〇ーマンだとか、ゴーストの正体をバラされなくて本当によかったです。あれ、こちらの想像力をぶっ壊すから、ほんと興ざめするんだよね。