セックスすると相手に移せる“IT”=何か、が常に追いかけてきて捕まったら殺されるというアイデアが楽しいホラー映画。
全編緊迫したホラーを想像していたのだけど、デトロイトの暗く寂れた街で仲間で集まって何となく時間を潰すティーン映画のようなシーンが多く、思ったよりもゆるい。
またみんなどこか冷めた子ばかりで従来の登場人物がステレオタイプで過度に大騒ぎするティーンホラー映画と比べると現代的に作られている。
しかし従来のホラー映画の形式を楽しめる要素も確かに存在する。
セックスするとITが移せるという設定はスクールカーストの低い人間が撮ったことを感じさせるし、ITの恐怖に怯える女の子、ジェイとサクッとセックスするチャラ男、それをただ唇を噛みながら見つめる内気陰キャのポールの関係性は観ていていたたまれない。
姿を変えながらゾンビみたいにジワジワ迫ってくるITのおかげで常に緊張を持って画面を見張ってしまう演出は上手さを感じるし、画面の絵よりも恐怖を煽ってくるBGM使いの良い。
ただ全体的に既出のようにホラー映画というよりティーン映画感が強く、ホラーらしいエグさやスピード感はかなり少なめ。結局よく分からないITの正体、物理攻撃が効くの？という疑問、そして最後にちゃっかりジェイとポールが付き合っている？ような展開がハマらず個人的には大絶賛とまではいかない。
