さききち

イット・フォローズのさききちのレビュー・感想・評価

イット・フォローズ(2014年製作の映画)
3.6
極上音響上映@ 立川シネマシティにて。
公開時ぶりの鑑賞。

赤と青。
全編、青みの強い映像に時折鮮烈に混じる赤。
序盤、性行後に見る緑(=赤+青-)の眩さ。

交替ゲーム。
疑心暗鬼が加速する、「それ」の擬態。
見ているのは、人か「それ」か。
徒歩で、どこにいっても、迫ってくる確実性と
あらゆる者に姿を変える擬態力で
昼夜問わず、外でも家でも、閉塞感に囚われる。

街。
自動車産業で栄え、そして、空っぽになった街。
デトロイト。8マイルロードを境に切り替わる、都市と郊外。荒廃し放棄された街並が、より閉塞感を加速させる。
(その街並みや歴史は1967年のデトロイト暴動を描いたキャスリーン・ピグローの『デトロイト』に詳しい)

カメラワーク。
多用される横パン。目が回りそうな水平移動に、時折混じり込む異変。

感染。
不幸の手紙的 悪魔の伝播。
もはや古典、オールドスクールとなった『リング』。その精神を引き継ぎつつ、ラストショットの感触も相似する、新時代の悪夢。

終盤、テーマ曲サビが始めて流れる瞬間に、主人公の強い気持ちが感じる。好きなシーン。

序盤の車載カメラの映像は、D・リンチの『ロスト・ハイウェイ』のよう。なんて思っていたら、次作『UNDER THE SILVERLAKE』はリンチ的だなんて評されているのね。めちゃめちゃ気になる。
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