JIZE

ゾンビ・ガールのJIZEのレビュー・感想・評価

ゾンビ・ガール(2014年製作の映画)
2.1
不慮な事故でアンデッドに変貌を遂げた元恋人とそれを取り巻く周囲との不謹慎な珍騒動を甦らす青春軽蔑コメディ!!終盤で暴走連発な元恋人の不死身感を賞賛!!本編と劇中のTV映像を通じ鏡像関係になる残酷なB級映像の皮肉も!!先に結論を申せば,墓地から這い出た説明と体液感染が通底せぬ特殊な設定(謎)に対し論理的な補助線があれば高評価を与える余地がこの映画にまだあった..要は2点の謎が思惑を永遠に邪魔し実に不誠実で頂けない..まず全速で確信めいた事を申せば今年7月に観たディン・デハーン主演『ライフ・アフター・ベス(2015年)』の骨格を本作は脈々と模造し脚本が指し示す動向を極限まで抑圧し不謹慎度を築く"不明瞭な劣化版"という薄味な位置関係だった。とにかく意外性な変化球がゼロ。直進的な豪速球で予測安易な映画。また元恋人のエヴリンが終盤で姿形が変貌を遂げなければ危うく今年最低な印を叩き出す所である..お話自体は大体あってないような物。要は順風満帆な生活を送る主人公が彼女を交通事故で"不幸"にも喪失した事から何故か彼女が再び墓地から"蘇生"し現恋人や友人を通じ三つ巴な非道の争いを繰り広げる,という最近多い意識高い系女子が何かを契機に彼氏に復讐を遂げ暴走する系映画な構造。前観た『ライフアフターベス』もしかり。ただ,前々から抱いていたがこの種の映画にはある落ち度がある。つまり欠点は彼女の変貌前と変貌後の対比が顕著に物語性より負担多めにフォーカスされ(本作で言えばゾンビ像が凶暴化してくプロセス)肝心の作品内で指し示す最終的な問い掛け部分のインパクトが非常に脆弱かつ陳腐で小刻みな動向自体は色々あったんだけど,どこか食い足りなく首を捻る未消化感が残る。それ踏まえても1番の欠点はここ。要は外部の効力が微塵も役に立たず単に主役と彼女の矮小的な固定空間で全要素が終始する特殊な設定故の構造。まだ本作は最後の顛末を考慮すると映画的に外連味あり最後の窮地に追い込まれ事態が⁉︎..な"あの場面"に限り意表を突かれカタルシスを感じただけに他の作品と比べ1歩秀でた構成に思えた。

概要。監督は『グレムリン』や『ハウリング』の鬼才ジョー・ダンテが担当。主演には『ターミネーター4』のアントン・イェルチン。共演には『トワイライト』シリーズのアレクサンドラ・ダダリオ等が名を連ねた。また本作はシッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2015で劇場公開されました。

原題『Burying the EX』は"元彼女"や"彼氏を埋めろ!"を指し手前から皮肉全開なんですが,主人公マックスの人柄な設定でもホラー映画好きで消極的な男という掴み所が至極浅い。大柄な友人の方が個性的に抜き出てるって映画的に..と思いましたが一方,元恋人エヴリンは世に言う美女像で好奇心旺盛な1歩危ぶめば途端に調整が効かなくなり破滅する性格も変貌後の納得度が増し設定的に巧妙で頷けた。ただ,マックス新恋人でありアイスクリーン屋オリビアとの微妙な立ち位置が役柄的に作品が維持する方向性を妨害し映画内で(彼女の存在を)主張し過ぎましたね..オリビアは『ライフアフターベス』でいうアナケンドリックの裏概念を踏む重要な役柄でこの作品ではアナケン演じる新恋人が最終的に車内で一瞬垣間見るあの思惑があるから功を得たんであって本作『ゾンビガール』では完璧に別物なんですよ。だから主張し過ぎた結果,オリビアの存在がただでさえ一筋縄で進まない関係性に拍車を掛け更に2転3転する徒労感が浮き出る雰囲気は否めなかった..あと中盤でエヴリンが防腐剤を体内からマックスめがけ吐き出しベトベトさせる場面もマックス身体に傷さえあれば完璧にアウト行為なのでは⁉︎..と思えた。劇中で度々フィルム映像を通じ映し出されるサイコホラー映画の18禁感も血がドロドロ飛び出て劇中の登場人物たちが鑑賞する映像の方が現実世界で交える殺戮より残酷なメタ的構造の不謹慎感も冷笑気味に貴重な構成であった。色々述べたが結果的には既存の材料を模造する平穏なB級映画or草食女子が最終的に人生の天下を取るヒエラルキーな構図を採用した割と偏る社会派人間ドラマであった。中盤に映画館でマックスとオリビアが濃厚に絡み合い,家内でエヴリンとマックス友人が殺意に揉み合う"間の対比"も気が利いてて映像的には然程面白くないんだけど構成的には粋で不謹慎に楽しめる。元恋人が墓場から這い出てエゴを撒き散らかす悪趣味な世界にドップリ浸かりたい方は80年代の哀感を込めお勧めですかね。是非。