デニロ

山河ノスタルジアのデニロのレビュー・感想・評価

山河ノスタルジア(2015年製作の映画)
3.5
評判に誘われて最終日に渋谷まで出掛けた。そんな人が多かったのか、かなりこみ混み合っていた。この劇場に最後に出かけたのは2005年だったけど、相変わらず映画館らしからぬ雰囲気のロビーだ。息が詰まる。

作品は、三人の若者が生き方を選択した時代(1999年)から、その選択によって彼らがどういう現在(2014年)を生きているのかという流れになっている。そして最後の章は、2025年というまだ見ぬ世界を描いている。

ひとりの女にふたりの男が思いを寄せる。三人は幼馴染だ。教師の女タオは炭鉱に勤める男リャンズーの方に気があるようだが、貧しい生活をしている男は踏ん切りがつかない。一方の成金の男ジンシェンは積極的でタオに踏み付けにされても積極的にアタックする。結局、タオは成金と結婚の約束をする。挙句に、リャンズーに結婚の招待状などを送るという中華思想極まれりというような行為を行う。これではリャンズーはもうここにはいられない。招待状を静かに置き、町を出る。

そして15年後。タオは既にジンシェンとは離婚し、独立して生計を立てている。そこに病を患ったリャンズーが妻子を連れ戻る。生活に困窮し治療費もないリャンズーにタオは支援の手を差し伸べる。

この辺りでベタベタな三角関係は終焉し、以下タオとその息子ダオラーの話になっていく。

その10年後オーストラリアで暮らすジンシェンとダオラー。ジンシェンはここに桃源郷でも見たのだろか。中国語しか話せないジンシェンの世界は狭く、ダオラーはもはやウンザリしている。この辺りのエピソードは何故付けたのかわからない。

息子と離れがたく敢えて鈍行電車に乗るジンシェンが切ない。わたしも思い人と一所に居る時よくそうしたものだった。

ラストのGO WEST でとどめを刺されます。
デニロ

デニロ