津軽系こけし

アンナと過ごした4日間の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

アンナと過ごした4日間(2008年製作の映画)
3.8
あのささやきを聞かせて


絶対に相容れることのない愛情、レオンが不器用でいかに弱いか知っている視聴者だからこそ、この歪な愛が悲壮的に映る。

導入、不気味に劇伴がささやきながらレオンが斧を手にするシーンによって、共感の余地などないような人物像を想像させる。シナリオの時系列も、彼の歪さを湛えるように混濁する。
だけど、混濁した時系列を沿ってゆくごとに、どんどん彼の境遇を理解して共感を寄せてゆく。2人の間には絶対に通じ合えぬ溝があり、だからこそレオンの逢瀬は絶対に叶わない。もしレオンがそれを理解しているならばなおのこと辛い。

絶対に叶わないという壁、どうしようもない現実の軋轢。向き不向きはかなりある、しかしいつかまた観直したい。
津軽系こけし

津軽系こけし