きゅうげん

ワイルド・スピード ICE BREAKのきゅうげんのレビュー・感想・評価

2.9
荒唐無稽なカーアクションは、もはや暴走。
まるでトミカで遊ぶ子供の脳内を覗いたような映画です。

ストーリーの大味さは置いといても、看過できないダメダメが多すぎる!
刑務所での乱闘やNYでの大立ち回り、最後の氷上チェイスなど……、車や人間のアクションと物語展開との整合性が希薄なのはとっても残念。
とくにロシアでの内容は、まどろっこしくとりとめのないアクションもさることながら、合成やCGなどの特殊効果から舞台としての撮影・演出、安易なコマ割りにいたるまで実在感を削ぐばかりで、スペクタクルとしての起伏もシチュエーションとしての緊張も一切皆無。全然ノれないクライマックスでした。
また、運転中の主人公vsタイピング中の敵ハッカーという構図による、「座ってる人が叫ぶ」状態の頻出。これはワイスピ・アクションの構造的・根本的問題かも。

それになにより、一番ダメなのがドム!!!
6作目終盤の恋愛沙汰もひどい内容でしたが、庶子発覚!からの実母銃殺!という、あまりにフリッジングされた展開に唖然。
あっちでもこっちでもシッポリ……って、“最悪の寅さん”じゃねぇか!!!
カート・ラッセルは投げやりだし、スコット・イーストウッドは空回り。そこに絡むギャグのテンポ感もダルいです。シャーリーズ・セロンは瞬きひとつしないし、ヴィン・ディーゼルは何も考えてなさそうだし、……演技いちばん頑張ってたのは赤ちゃんでしょ。

数少ないノリノリポイントは、ホブス&ショウのツンデレ・ブロマンス。アクションの完成度や夫婦漫才っぽい掛け合いなど画面の締まりぐあいが段違いでした。
今後はメインシリーズよりスピンオフに期待しちゃうかも。