垂直落下式サミング

ワイルド・スピード ICE BREAKの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.6
ワイルドスピードのシリーズ8作目。
スポーツカーと潜水艦を並走させるというバカの思い付きを大真面目に映像化するその気概が好きだ。列車、戦車、飛行機ときたらそりゃあもう次の乗り物は潜水艦しかないだろう。
劇場のDQN率が高いのも見所のひとつ。二年に一度このシリーズが公開されるとあいつらが自らのファミリーと連れだって劇場に集結するのだ。食べ残しのポップコーンをぶちまけて帰っていくバイト泣かせのドSっぷりがたまらない。祝日やサービスデーに若者がたくさん来そうな立地の大手シネコンで、トルネードマートやムラサキスポーツの洋服で身を固めた気合いの入った男たちと一緒に観賞することをおすすめする。
本作を楽しむにあたって、とりあえず前作はみといた方がいいのは確か。監督交代。ステイサム参戦。ロック・ボトム炸裂。そして何より、主要登場人物を演じた一人の俳優に、これ以上ない敬意が向けられた映画史に残るラスト。色んな要素が重なった結果、前作『SKY MISSION』が何かをやりきってしまったので、今後は作り方が難しくなり続けるしかないシリーズだと思うんですけど、一度長期シリーズ化してしまったものは何をおいても続編を製作した方がいいし、絶対にそうすべきだ。
今回の『ICE BREAK』はロックとステイサムの扱いに好感を持った。かつてチームと敵対していた追加戦士は自軍へ加入した途端に弱体化するという戦隊ヒーローの慣例を撃ち破り、白兵戦闘におけるイレギュラー的な役回りを演じる強キャラポジを維持しているのが素敵。特にロック様は娘の所属するフットボールチームをハカで鼓舞する人間の鑑だ。奮起せよポリネシアン!我等オールブラックス!
イーストウッドの倅が演じるリトル・ノーバディが今回の新キャラで、単体では個性が弱いがローマンと彼とのヤンキー×マジメ君な絡みが腐女子的にはポイント高いらしいので今後の展開に注目である。