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ピートと秘密の友達のtetsuのレビュー・感想・評価

ピートと秘密の友達(2016年製作の映画)
3.7
続けてアニメの実写版が気になり鑑賞。

幼い頃、両親を交通事故で亡くしてしまった少年・ピート。
森のなかで一人置き去りになった彼は、ドラゴンの友達・エリオットと出会う。
数年後、森を調査する女性・グレースに発見されたピートはエリオットと離ればなれになり、彼女の家族と会うことになるが...。

監督は『ア・ゴースト・ストーリー』でその名を知らしめたデヴィッド・ロウリーさん。
それを念頭に鑑賞すると、ドラゴンという「特異な存在」が中心となるストーリーや、「人の死」が作品において大きな意味を為している点で、前述の作品と共通の部分を感じる。

ちなみに監督はディズニーのもと、本作を3年がかりで作ったそうだが、その終盤から『ア・ゴースト...』の構想はあったという。「『ピート...』で学んだことをもっと小さなスケールの作品で試したかった」*と監督が発言しているように、本作がなければ傑作『ア・ゴースト...』は生まれていなかったとも言えるだろう。
*『ア・ゴースト・ストーリー』パンフレットの発言を参照。

正直、本作が昨今の「ディズニー名作アニメ実写化」ブームに埋もれて、ぱっとしない扱いとなってしまったことは否めない。
実際、原作の一番の魅力であった「実写とアニメの融合」という点はリアルなCG描写によって完全に消え去ってしまったし、リアル志向のストーリーだからこそ綻びが見えてしまう脚本など問題点はある。
(※その他、原作との違いは文の最後にまとめておきます。)

しかし、本作が何の物語だったかと考えれば、その点は大して重要だと思わなくなった。

僕は本作を「死者」が悲しみを乗り越え、前に進む物語だったと考えている。
ドラゴンのエリオットは両親を失ってしまった少年・ピートを癒す存在であり、同時に彼を孤独から救ってくれる存在。
しかし、ピートにとって、人間としての生活を放棄してまでも彼に頼り続けることが、本当の意味で「悲しみから立ち直る」ことなのか?
それを踏まえると、割りと好き嫌いが別れているラストも、これ以上にない終わり方だったのだと思う。

ディズニー作品のリメイクというよりは、デヴィッド・ロウリー監督作としての印象が強い本作。
物語の深みなどは、他のディズニー作品と比べ少し感じにくいかもしれないが、そういう方は、是非、『ア・ゴースト・ストーリー』を観た上での鑑賞をオススメしたい作品。

参考

ディズニー、なぜ過去の名作を実写リメイク?|Real Sound|リアルサウンド 映画部
https://realsound.jp/movie/2017/01/post-3672.html/amp
(この批評を読むと、また違った観点から鑑賞できます。)

アマラとカマラ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%81%A8%E3%82%AB%E3%83%9E%E3%83%A9
(前作と違い、野性的だった今回の主人公を見て、少し彼女たちを思い出しました。)



以下ネタバレあり、未見の方はお気をつけください。

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前作との違いを箇条書きにしてみました。
・ドラコンのヴィジュアルがアニメからCGに。
・ピートがより野性児に。
・ドラゴンの能力は「透明」から「擬態」に
・前作にはなかったピートとドラゴンの出会いが描かれている。
・エリオットという名前に一応の理由づけがある。
・ヒロインとして主人公と同じくらいの少女が登場する。
・前作では西部劇にも似たウエスタンなセットが舞台だったが、今作では完全に21世紀の現在が舞台になっている。


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2019/8/1
#シリーズ:ディズニー(実写リメイク)
を追加しました。
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