みゆ

マネー・ショート 華麗なる大逆転のみゆのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「マネーショート」だと資金不足の事かと思ってしまう。大逆転でもないし、この邦題はどうなんやろ…。
リーマンショックのあらましを理解した上で観ると面白いかも。絶対に値下がりしない安全な投資先として誰もが疑わなかったアメリカの土地信仰、顧客を食い物にして私腹を肥やしていた悪徳銀行員たち、競合他社に仕事を奪われまいと本来の機能を失い形骸化した格付け会社。アメリカ経済の破綻を予見し、アメリカ金融界の闇と戦った男たちの物語。
本作は、2008年のこの経済破綻によって、アメリカ国内だけで5兆ドルの年金と 800万人の職と600万人の家が消えた。そして日本でも大量のリストラが発生したことは記憶に新しい。
結局、そんなに金融経済に明るくない人々のお金を好き勝手使って超超超高額のポーカーをやられてるようなものなのだけど、なんで手前らの金儲けでこっちの生活まで振り回されなあかんねんと思った。
映画では、高額な住宅ローンを笑っちゃうようなムチャな方法でホイホイ組まされ、挙げ句に家を追い出される人々などの姿も描かれる。
食い物にされる馬鹿が悪い、と儲けてた人達は言うんだろうけど、なんとも情の無い話。所詮はPC上での駆け引きなので、誰かの人生を滅茶苦茶にしてるかもって実感が薄いのかな。都合の良いトコだけを言って溶けたら「投資に絶対はありません。それを感情論と言います」とか言って一瞬で凄い金額が消えてしまったりするのにな。"悪銭身に付かず"って諺がホントだったら良いが、結局は弱者が食い物にされる世の中ってのはいつまで経っても変わらないと思えてしまう。少しは賢くならなきゃいけないのかも知れないです。
点ろな眼で崖っぷちまで賭け続けるクリスチャン・ベール、不誠実な業界にブチ切れっぱなしのスティーヴ・カレル、守奴な言動と髪型が変なライアン・ゴスリング、辣腕だが金融ビジネスの世界に疲弊して見えるブラッド・ピット。
いろんなストーリーが錯綜して、ちょっと難しいですが、脚本が良いし、台詞が全てメモしたいくらい情報量が多く深い内容です。行動経済学の話なんかもあり、とても勉強になりました。
徳永英明の曲が流れたり、村上春樹のIQ84の一文が出てきましたね。
みゆ

みゆ