三郎丸

二重生活の三郎丸のレビュー・感想・評価

二重生活(2016年製作の映画)
2.6
正直、鑑賞後
【胸くその悪い作品】
が率直な感想です…
大好きな俳優(リリーフランキー)が観たくて本作を鑑賞したのですが…
いかにも哲学的な「匂い」ストーリーと語りで、奥深い感じを醸し出してますが(この部分は嫌いじゃない)、説明不足な描写が浅く、心に響いてきません。
そもそも、どういう形であれ
【つきまとい(ストーカー)】
自体に嫌悪感がありますので、本作を鑑賞していると、つきまとい行為をどこか肯定している匂いがしたので、評価はグーンと落ちました…
人生のためにならん犯罪行為は傍観だけでもムカつきます。

主人公の唐突に尾行する心理描写や行動に
【大学の修士論文を作成するため】
という、ワケわからん理由というか動機があるため心に響いてこないです…
やっぱりもうちょっと尾行する「キッカケ」があった方が鑑賞者も納得出来たような気がします。
そして、尾行の話を聞いただけで、突然論点がズレた怒りをぶつけ出す(全然パートナーを理解しようとしない)彼氏(菅田将暉)の心理、リリーフランキー演じる教授の自殺に至る経緯。
見てる人が色々汲んで想像すれば、理解出来なくもないかもしれないのですが、
「何でそこまで読まないといけないの?」
と感じ、苦笑いしているワタシがいました…

主人公が近所に住む長谷川博己演じる不倫オトコを追尾し始めた途端に(まあまあな日中時間帯)、雑居ビルの狭間で立ちバックを始めます…
何なんでしょう、この野生の王国感!
不倫をしているとは言え、それなりの良識と常識、社会的地位を持った大人がする行動としてはあまりにリアリティがありません。
【ちょい昔の企画モノAVじゃないんですから】
見てるこっちが恥ずいッス!
ほとんどつきまといへの葛藤を見せずグングンと尾行にハマる主人公…
終盤に主人公が長谷川博己相手にラブホテルで(この展開もムチャクチャ…)尾行にハマったことを語りだしますが、私にはまっったく理解出来ず…
そして長谷川博己がしまいには主人公に
「お前が尾行さえしなきゃオレは上手く生きてたんだ!」
という、ナンだか超人同士の異次元やりとりでワタシは全くついていけずです!(笑)

そんなこんなで随所にリアリティが感じられず、とりあえず過激なことをしたいとか、一味違う作品を作りたいという想い、みたいなのは監督さんの力量がそれに追いついていない印象。

俳優さんの演技は悪くないし、主人公の門脇麦さんも地味だけどとっても美人でスタイルも良い感じなのですが、脚本と演出があまりに酷い…
劇中で主人公が
「わかんないよぉー…」とむせび泣くシーンがあるのですが、
「オレのが全然わかんねーよー」
と、それを観ながら思わずつぶやいてしまいました…

「人間観察」という深いテーマの作品を、ざっくり描かれても伝わってこないですね…
ストーカーを変に気取っちゃって、不快でした。

リリーフランキーの【力の抜けた】演技と長谷川博己のオトコの色気はバンバン画面から出てましたので、特に長谷川博己ファンにはオススメですかね…
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