順慶

二重生活の順慶のレビュー・感想・評価

二重生活(2016年製作の映画)
3.2
尾行するって緊張感があっていい。犯罪じゃなくても背徳感があってドキドキする。そして秘密を知ることになる。男にとって恐ろしい修羅場だ。

近所に住む社会的には恵まれた環境の男(長谷川博己)を尾行する珠(門脇麦)。哲学の修士論文を書くための尾行とは言え、思っていたより徹底的に尾行して、同じ店に入って、会話も聴こうとする。
地味だけどこういう緊張感が大好きだ。

最初のカットと最後が呼応していて、パソコンのケーブルで自殺したのは誰で、ノックしたのは誰かという答え明らかにするが、観ている方は、ほとんど忘れていたので、答えを知っても興味がなかった。

それから卓也(菅田将暉)と珠の朝からのエッチシーン。いたした後のティッシュをゴミ箱捨てるシーンがリアルだった。
そのゴミからゴミ置場への視点の移動。ゴミ捨場に設置された監視カメラも見る側の役目を与えられる。
男を尾行して見ている珠と家に帰る珠を見ている監視カメラ。これもちょっと緊張感がある。しかし思わせぶりな感じで、監視カメラはあまり役だってなかった。

「実存」という哲学的な命題の映画かと思ったが、それなら珠の論文に頼りすぎだと思う。
尾行の緊張感や他人の秘密を楽しむストーリーにしか思えなかった。それは十分楽しめたけど。
順慶

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