このレビューはネタバレを含みます
哲学の修士論文を書くために、理由のない尾行を続け、記録するという話。尾行を通して、人間の存在に迫る。
尾行はいいが、門脇麦ちゃんの尾行が下手すぎて萎える。いくら素人とはいえ、もうちょっと警戒してくれないと。
逆にこの下手くそな尾行は、緊張感への演出なのか?
近すぎるって!
そこで止まったら逆に怪しいって!
今その店入ったら絶対バレるって!
そっち行っちゃダメだって!
と心の中で何度も叫んでしまった。
これは監督の思うツボなのだろうか。
順風満帆な家庭の旦那が、実は浮気をしていた。確かにそんなありきたりな話でも、“尾行”という行為を通すことで、スリルは倍になっている。
個人的には、泣きながら話す門脇麦に吐き捨てる長谷川博己がよかった。容赦ない大人。論文書くために他人を尾行するような、世の中舐め腐った大学生には、これくらいガツンと言ってやらないと、こっちもスッキリしないからな。
しかし、最後までよく分からなかったのは、なぜ哲学するのに尾行が必要だったのか、ということ。哲学と尾行の関係性は見えてこなかった。
たぶん本作はただ尾行することが目的であって、そんな所を突っ込んで考え込むような映画ではないのだろう。
公開:2016年
監督:岸善幸
出演:門脇麦、長谷川博己、菅田将暉、リリー・フランキー