このレビューはネタバレを含みます
ずっと観たいと思っていて、やっと観れた。
思った通り、自分が好きな感じの映画だった。
私も哲学は好きだし、他人の生活や他人の考えていることに興味があるから、珠の尾行にのめり込んでしまう気持ちは分からなくはないかも、と思った。
尾行をしたところで「人間とは何か｣が分かるのかは謎だが。
哲学科って何を勉強するのか気になる。
リリーフランキーが初めて聞く話し方をしていて驚いた。
あの人の演技にはいつも驚かされる。
石坂を尾行してすぐに、いいサラリーマンであり、いい旦那であり、いい父親に見えていた石坂の秘密を知ることになる。
尾行を始めてすぐに秘密を知ってしまったから、珠はあそこまで尾行にのめり込んでしまったのかな。
もちろん不倫するのはよくないけれど、誰にでも多かれ少なかれ秘密はあるのだろう。
奥さんにはバレていたみたいだけれど。
家族といるときの石坂は、いいお父さんにしか見えなかったから、人の裏の顔を知りたくない私にはそのギャップが悲しかった。
私は人の秘密は知りたくないなぁ。
知らない方が幸せなことってあるよね。
それにしても珠の尾行は結構近づくし、相手から見える位置に座ったりするから、バレないかヒヤヒヤした。
路地裏で2人が致している時も何度も前を通るし(笑)
自分の周りにいる人のことをいちいちよく見てないとはいえ、尾行されていることに気付かなかったとしても、あんなに近くで何回も見かければそりゃ怪しまれるよなぁ。
珠目線で撮られているから、一緒に尾行している緊張感のようなものがあった。
レストランで口論になって、2人がレストランから出たあと、石坂の奥さんと娘がいた時にはヒヤッとした。
私の父親も不倫をしていたことがあり、それを知った母親が苦しむ姿をよく見てきたから、奥さんが苦しんでいる姿は母親と重なって心が痛くなった。
奥さんが自殺未遂をしたとのことで余計に…。
石坂の家に救急車がきた時は何が起こったのかとヒヤヒヤした。
とうとう石坂に尾行していたことがバレてしまったけれど、この尾行の決まりは相手と関わらないこと。
だから必死に逃げようとしたけれど、石坂は許すわけがない。
石坂がお前のせいで人生がめちゃくちゃになったみたいなこと言った時は、自分が浮気したからだろと思ったが。
珠は直接何がしたわけではないんだから、尾行していなくても同じだったよね？
そのあとホテルに行ってそういう関係になりかけるのには笑ったけれど、珠は尾行していくうちに石坂に恋愛感情のようなものを抱くようになっていたのかな。
初めて見た時から気になってはいたっぽいし。
尾行していたのは、人間としての興味からの行動だったのだろうけれど。
石坂も論文のためとはいえ、尾行と言ってもストーカーなのだから、警察に通報したりするのかなと思ったけれど、意外と何もしないのか。
まぁ自分の秘密を知られてしまったからなぁ。
だからこそ論文に書いてもいいと言ったのには驚いた。
元々あまり上手くいってなかったっぽいけれど、尾行にのめり込んで、珠に相手をしてもらえない卓也が可哀想だった。
卓也も、彼女が誰かを尾行しているなんて知ったら戸惑うよな。
石坂とホテルを出たあとに見ていたのは卓也だったのか。
そこで別れるのを決意したのかな。
それでも当たり前のようにカップラーメンを2つ作ってくれるのが切ない。
教授は最後までよく分からない人だったな。
石坂の次は、面識のある相手である篠原教授を尾行していたけれど、教授は論文を読む前から気付いていたのかな。
むしろそれを狙って、尾行を続けなさいと言ったのかもしれないが。
教授の秘密は、妻に見えた女性は本当の妻ではなく、余命わずかな母親を安心させるために、妻役を頼んで演じてもらっていたということなのかな。
教授は自殺したっていうことなんだね。
初めのシーンもそういうことだったのか。
教授は孤独を感じていたのかな。
どうして珠に尾行を勧めたんだろう。
もしかしたら教授も理由のない尾行にのめり込んだことがあったり？
自分を尾行させたかったとか？
うーん、それなら面識のない相手とは言わないかぁ。
ラストのシーンは実は死んでいなかった教授なのかな？と思ったけれど、実は珠も誰かに尾行されていたということなのかもしれないな。
石坂に語っていた、亡くなった珠の初恋相手だったり…？
色んな解釈の仕方があって面白い。
でも根っこの部分が空っぽで、いつもモヤモヤしている感覚っていうのは分かるなぁ。
私も今同じような思いをしているからこそ、珠に共感できるところが多かった。
それにしても長谷川博己、クズな役なのにかっこいい、エロい…(笑)
門脇麦は不思議な魅力があって好きだし、菅田将暉の目立たない感じもよかった。
リリーフランキーの演技は相変わらずすごい。
何気にマンションの大家さんが怖かった(笑)
防犯カメラのシーンも｢見られている感｣があってよかった。
