はなこたちゃん

弁護人のはなこたちゃんのレビュー・感想・評価

弁護人(2013年製作の映画)
5.0
いつ裁判が始まるんだろうと思うほど、
前半が長めだった分、ソン・ガンホ演じるウソクが拝金主義の弁護人から、人権派弁護士に転身する様がとてもリアルで引き込まれました。

拝金主義とはいえ、苦学して手に入れた弁護士という地位を利用してあら稼ぎするという様な嫌味はなく、そのあたりはソン・ガンホが上手く演じているなという印象。
序盤の『絶対諦めるな』と『食い逃げ』が後半で見事に回収されて感動的( ¨̮ )

以前観た、『トガニ』同様、
権力による圧力や暴力、理不尽な自国の史実や汚点に誠実に向き合い、
本作の様に最高のキャストで最高の作品を制作する韓国映画界は本当に素晴らしいです。

主人公のウソクが法廷で「憲法第1条2項、大韓民国の主権は国民にあり、すべての権力は国民から生まれる」と目に涙を浮かべて熱く熱く訴える姿に、何かしら日常生活の中で「抑鬱」を抱えている現代の私たちにとっても、溜飲が下がる様な快感を得ると共に、胸が熱くなる感動的なシーンでもあったのではないかと思います。

・『間違ったことを間違いだと声を上げることが出来ない様な国に子どもを住ませるわけにはいかない』
・『国民が貧しいからといって民主主義も法律の保護も受けられないというのには同意できない』

この二つの台詞には特にシビれました💕


キャストは勿論、制作関係者の本気と熱意がビシビシ伝わり、
ラストシーンで
人権派が高じて民主化運動の首謀者として被告となったウソクの裁判の冒頭、
弁護士の出欠をとる場面(何と99名の弁護士がウソクの弁護を申し出た。)は感動的で、
権力に屈しない強固な
韓国の良心と希望を見た気がします。

韓国の歴史をもう少し勉強して改めて観直してみたいと思います。人としての良心がぎゅっと詰まった本当に素晴らしい作品でした( ¨̮ )