ハレルヤ

最愛の子のハレルヤのレビュー・感想・評価

最愛の子(2014年製作の映画)
4.1
中国のとある町で突然3歳の息子を誘拐された夫婦と、誘拐とは知らずにその子を養子として3年間育てた女性。双方の壮絶な苦悩を描いたヒューマンドラマ。

中国では毎年20万人もの子供が行方不明になっているという衝撃の事実。その一角である実際の事件を基にして作られた本作。重いんだろうなと思っていましたが予想通り。かなりヘビーな内容で疲れました。

息子が行方不明になった事で血眼で探し回る両親。3年の月日を経てようやく見つかり、喜ぶもそれは新たな苦難の始まり。誘拐されていた間に息子は自分の本当の両親の顔を覚えていなくて、そこから関係を修復していかなくてはいけない状況。

その一方で夫が誘拐してきたとは知らないまま、実の子供同然で接してきた育ての母親。いきなり息子を奪われたと同じ事態になり困惑する彼女をヴィッキー・チャオが文字通りの名演で見せてくれます。ノーメイクで挑んだ一心不乱な姿は演技とは思えないほどの凄みでした。

娯楽性はほぼ無く、重たくて苦しい雰囲気がずっと続きます。それでも物語の運びはしっかりしているので、しんどくても最後までキッチリ見れる内容に仕上がっていました。

その最後も意外な事実が明るみになって終わるので、何とも言えない複雑な後味が広がります。ハッピーエンドでもなく、かといってバッドエンドとも言い難い。こういった結末も他ではあまり見られません。

中国の一人っ子政策の実情にも触れていますし、社会的テーマも深く突き詰めています。あまり気分がよろしくない時に見るのはお勧めしませんが、鑑賞後は愛する家族と過ごす時間の大切さを再認識させてくれる作品だと感じました。
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