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最愛の子のsonozyのレビュー・感想・評価

最愛の子(2014年製作の映画)
4.5
2014年 香港のピーター・チャン(陳 可辛)監督作。Netflixで。
http://bitters.co.jp/saiainoko/
1980年以降の中国の闇となっている児童誘拐がテーマ。
年間20万人とも言われる中国の行方不明児。
その多くは数十人から数百人のメンバーを抱える犯罪組織によって行われ、誘拐された子どもは5,000ドルから13,000ドルで売買されているという。

2008年に誘拐された男の子が2011年に両親のもとに帰ってきたという実際の誘拐事件のドキュメンタリーを見た監督が映画化したもの。
俳優も子役も迫真の演技でリアル・ドキュメンタリーを見ているような心揺さぶられる作品となっています。

2009年夏、中国 深圳。
寂れたネットカフェを営むティエン(ホアン・ボー)は離婚した妻ジュアン(ハオ・レイ)と交互に3歳の息子ポンポンと暮らす生活をしていた。
ある日、近所の子供と遊んでいたポンポンは、母親が運転する車に気付き、後を追いかけるが追いつかず、1人呆然としているところを何者かに連れ去られてしまう。

警察の協力も期待出来ない中、ネットで情報提供を呼びかけたり、友人・知人の協力を得ながら探し回るティエンとジュアン。
弱みにつけ込み、詐欺まがいの情報提供を行って金銭を巻き上げようとする輩まで登場し、探索は難航。

ハン(チャン・イー)をリーダーとする「行方不明児を探す交流会」に参加し、同じ境遇にある親たちと探索を続ける2人。
失踪から3年が経った2012年夏、安徽省の農村にポンポンらしき男の子がいるという情報が入る。
そこにはポンポンと幼い妹が遊んでいた。

ホンチンは子どもが産めないため、1年前に死んだ夫がよその女に産ませて3年前に連れてきたのがポンポンと信じていたが、実際は夫が誘拐してきた子だったのだ。
幼い妹も、夫が拾ってきたという。。

奪い返すようにポンポンを連れ戻すティエンとジュアンだが、6歳になったポンポンに2人の記憶はなく、育ての母親ホンチン(ヴィッキー・チャオ)が彼にとっての母親となっていた。
突然、育ての母と妹と引き裂かれるポンポンの悲しみ、ホンチンの子供たちへの深い愛情・・・
やっと見つかったものの記憶がないポンポンとの関係を取り戻そうともがくティエンとジュアン・・・

罪のない子供たちの心情、実の親/育ての親、それぞれの深い愛情・・胸が締め付けられます。。

一人っ子政策、都市と農村の経済的格差、犯罪組織、警察の汚職..などが複雑にからみ合い、未だ解決できていない社会問題ですが、
この映画公開がきっかけとなって刑法が改正され、誘拐された子どもや女性を買うことを重罪とみなす事が規定されたそうです。
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