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最愛の子のkeinoshinのネタバレレビュー・内容・結末

最愛の子(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

中国で社会問題化してる幼児の誘拐とその売買について、最愛の子を拐われた親と誘拐された子だと知らず3年間育てて来た親の両方の視点から撮られた作品。

前半は誘拐された子をその子の実の両親が見つけ出すまでがメイン。イタズラ、詐欺に引っかかりながら、それでも一縷の望みを捨てない父親の姿が痛かった。
一転して後半はヴィッキーチャオ演じる育ての母が、誘拐された子とは別に、施設に引き取られた娘(この子は元々身寄りなし)を取り返そうと奔走するのがメイン。
しかしながら前半で散々拐われた子供を見付け出すまでの苦労を見ているので、知らなかったとは言え(夫が「その辺に捨てられてた」って嘘ついてた)誘拐の片棒担いで人の家庭を壊したこの母親には感情移入できず、それどころか「どの立場で物言うてんねん」とひたすら苛々。

ラストはみんなに等しく希望が与えられてよかったんじゃないかなと思う。

終盤間近、弁護士の兄ちゃんがバスの中でヴィッキーに言ってた「この国はみんな自己主義すぎる」っていうセリフが、監督がこの映画で一番言いたかったことなんじゃないか、と感じたのですごく印象に残ってる。

最愛の子を拐われた親、子を奪われた親、拐われた子を諦める親、諦められない親。どの立場に立っても辛く切ない感情しか出てこない映画だった。
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